秋の薬膳その2|後半は「涼燥対策」

秋分の頃からは「涼燥対策」を

9月中旬の「秋分」を過ぎると秋の乾燥に冬の寒気が加わります。
この頃は昼間は暖かくても朝晩は冷え込んできます。肺の性質はデリケートで潤いを好み、乾燥を嫌い、冷たい空気も嫌います。

燥邪の特徴

秋の乾燥が邪気になると「燥邪」となり人に影響をあたえます。
燥邪は鼻と口から肺に侵入し潤いを消耗させます。次に口、鼻の渇き、喉、髪の毛、皮膚の乾燥、便秘がおこり、ひどくなると喘息、胸痛みを発症させます。

これらの症状が起こらないように薬膳では肺を潤す食材を積極的にとりますが、晩秋は冬の寒気が加わるため、肺を潤す働きと、温性または平性があるものを選ぶことが大切です。

潤いをもたらす白の食材
白きくらげ、レンコン、白ゴマ、牛乳、ヨーグルト

肺のシステム

肺は呼吸をすることで、自然界から清気(酸素)を摂り入れ、体内にできた汚れ濁気(二酸化炭素)を吐き出します。また同時に呼吸のリズムで身体のすみずみまで気を巡らせ、全身の「気」を支えます。

そして肺は気をめぐらせながら、皮膚に水分を届ける働きも担います。

肺が潤えば、肌も潤う「白の食材」

肺の乾燥状態はすぐに皮膚にあらわれるため、薬膳では皮膚の乾燥がある時は、肺の潤い不足を疑います。肺を潤し内側から潤えば、肌もみずみずしく保つなどの美容効果もあります。

代表的なものとして、白きくらげ、れんこん、白ゴマなどの白い食材をとると、内側から潤い美肌へつながります。

楊貴妃が愛した白きくらげ

白きくらげとは、「白いきくらげ」で「銀耳(ぎんじ)」とも呼ばれ、花びらのような形状をしています。
古代中国では天然ものしかなかったため、宮廷でしか食べられない貴重なものでした。宮廷の妃たちの美容食材として、つばめの巣とともに愛された白きくらげです。

白きくらげ

白きくらげ

現在は人工栽培のものが普及し、白きくらげは、黒きくらげと同じように乾燥した状態で販売されています。台湾スイーツではおなじみですが、薬膳に興味をもってから、白きくらげを知る人も多いかもしれません。

調理法は数時間コトコト煮て柔らかくするほうが体への吸収がよくなるため、スープなどがおすすめです。薬膳メニューでは、よく煮込んだ白きくらげに、梨、氷砂糖をいれて再び煮込んで作るデザートが有名です。

飲み物で潤いを目指すときは、杏仁豆腐のような風味の「甜杏仁茶」がとても便利です。
潤い効果がある牛乳または豆乳に大さじ一杯の杏仁粉をいれて混ぜるだけで、うるおい肌のためのドリンクが出来上がります。甜杏仁は「肺」と「腸」を潤す働きがあるので便秘をともなう人は特におすすめです。
ノンカフェインでお砂糖不使用です。

関連記事