なぜ、人は体調を崩すのでしょうか。この動画では、薬膳や中医学の考え方をもとに、「陰陽バランスの崩れ」から体調不良の原因を解説しています。
✔ 発熱・のぼせ(陽勝)
✔ むくみ・だるさ(陰勝)
✔ 冷え性の正体(陽虚)
✔ 体がほてる理由(陰虚)
同じ「冷え」や「熱」でも、原因が違えば対処法も変わります。
▶ この動画でわかること
・陰陽バランスの基本モデル
・体調不良の4つのパターン
・薬膳での整え方(考え方)
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第三章「中医学と陰陽」
人の体は、ただの「物質」なのだろうか。それとも、目に見えない、何かと深く結びついているのだろうか。
現代の医学は、「こころ」と「からだ」を分けて考える。
体に不調があれば、体を治療する。
心に不調があれば、心を整える。
それは、とても合理的で、大きな進歩をもたらしてきた。
だが、古代の人々は、そうは考えなかった。こころと、からだは、もともとひとつのものだと考えていた。怒りも、悲しみも、不安も、喜びでさえも。度がすぎれば、それは“病”のはじまりになる。
だからこそ彼らは、ひとつの流れとして捉えた。その中心にあったのが、陰陽という考え方である。
人体と陰陽
では、その陰陽は、どのように人体へと応用されたのだろうか。人の体にもまた、陰と陽が存在すると考えられた。
たとえば、人体にも「太極」がある。それは両腎。
背骨を挟んで左右に位置し、左が陰、右が陽。生命の源として重要な場所とされた。
さらに体は、こう分けられる。太陽の光を受ける背中は陽。内側を守る腹は陰。体の表側は陽。内臓は陰。
そして内臓もまた、さらに陰陽に分けられる。六腑は陽。五臓は陰。
それは、単なる分類ではない。体の奥深くにあるものほど、より重要であり、そして病邪もまた、深く入り込むほど重くなると考えられた。
陰陽は分け続けられる|無限可分性
陰と陽は、固定されたものではない。一度分けたあとも、さらに分け続けることができる。これを、無限可分性という。
たとえば、五臓はすべて陰に属する。しかしその中でも、心と肺は上に位置するため陽。肝、脾、腎は下に位置するため、陰となる。
つまり、心と肺は「陰の中の陽」。肝と脾と腎は「陰の中の陰」。
このようにして、陰陽はどこまでも細かく、柔軟に世界を捉えていく。この捉え方は、中医学の考えの基本となる。
陰陽バランスの崩れ(基本モデル)
では、人はなぜ、病気になるのだろうか。中医学では、とてもシンプルに考える。それは、陰陽のバランスが崩れるから。体の中の陰と陽は、本来、調和している。
では、バランスが崩れるとき。何が起きているのか。
基本は二つ。どちらかが、強くなりすぎるか。弱くなりすぎるか。
それだけで、バランスは崩れる。そしてその崩れ方は、大きく4つに分けられる。
1.陽が強すぎる(陽勝)
まずは、陽が強くなりすぎた状態。火のイメージで考えてみよう。
本来ちょうどいい火加減のはずが、どんどん火が強くなっていく。すると…。
体は熱くなる。実際に熱が出たり、ほてったり、のぼせたりする。
それだけではない。中医学では、こころと体はつながっている。だから、なんだか落ち着かない。妙に焦る。そわそわする。こうした状態も、“熱”として捉える。これが、陽の偏勝。または、実熱(じつねつ)と呼ばれる状態。
この場合は、どうするか。
薬ならば熱を冷ます「清熱薬」。
薬膳ならば、体を冷やす食材などで熱を鎮め、陰陽のバランスを回復させる。
2.陰が強すぎる(陰勝)
次に、陰が強くなりすぎた状態。陰は水のイメージ。水が多すぎると、どうなるか。
冷える。重くなる。流れが悪くなる。
体も同じ。強い冷え。むくみ。体のだるさ。なかなかスッキリしない。そんな“重たい不調”として現れる。これが、陰の偏勝または実寒(じつかん)という状態。
この場合は、どうするか。
薬ならば温めて、巡らせる。
薬膳では、体を温める食材で、水の停滞を動かしていく。
3.陽が足りない(陽虚)
次は、逆に、陽が足りない状態。火が弱すぎるイメージ。本来なら体を温める力があるはずなのに、それが足りない。だから、冷える。
しかもこれは、一時的ではなく、体質的な冷えの場合もある。いつも寒い。手足が冷たい。
これを、陽虚(ようきょ)という。
「虚」というのは、足りていない、という意味。この場合は、ただ温めるだけではなく、温める力そのものを補う「補陽」の薬または食材を取り入れる。
4.陰が足りない(陰虚)
最後に、陰が足りない状態。水が少ないイメージ。本来水は、火を抑える役割があるのに、それが足りない。すると火は暴れ始める。
結果として、ほてる。のぼせる。でもこれは、火が強いわけではない。抑えるものが足りないだけ。
これを陰虚(いんきょ)とよぶ。
この場合は、体を冷やすだけでなく、陰(潤い)を補うことが必要になる。
このように中医学は、「熱がある」「冷えている」という現象を、細かく見ていく。
同じ“熱”でも、余っているのか。足りないのか。原因によって、対処は変わる。
薬膳へのつながり
では、この考え方は、どのように日常に活かされるのか。それが、薬膳である。
中医学が生薬で治療するのに対し、薬膳は、食事で整える。
食べ物にも、陰陽がある。体を温めるもの。体を冷やすもの。この性質は、温・熱 寒・涼、と分類される。体の状態を見て、食材を選び、食べる。それによって、崩れたバランスを整えていく。これが、薬膳の基本である。
だが、人の体は、それだけでは説明しきれない。もっと複雑で、もっと精密にできている。
そこで登場するのが、五行学説。
木・火・土・金・水。五つの要素によって、臓器の関係、感情の動き、不調のつながりが、さらに立体的に見えてくる。
次の章では、この五行の世界へと進んでいく。陰陽を土台に、もう一段、深く。自分の体を理解するために。
