春の見頃は小さな花から豪華な花まで
西武拝島線、東大和市駅から徒歩2分で行ける東京都薬用植物園をご存知でしょうか?
東京都の薬務行政の一環として1946年に設立され薬用植物の収集・栽培のほか試験研究機関としての機能をもち、総面積3万1398m2の園内の多くは無料で一般公開されます。四季を通じ色とりどりの花を撮影するため訪れる人も多く、今まで知らなかったことを知る良い機会になると思います。
生きた植物を自分の目で確かめられるので薬膳ファンなら一度は訪れたい場所です。
身近な食材の花たち
春は小さな花から豪華な花まで、花たちの祭典を見ることができます。
カタクリの花は芽が出てから8~10年間かかり花が咲きます。
片栗粉はユリ科のカタクリの花の鱗茎(球根)から作られていましたが、現在、市販されている片栗粉はじゃがいものデンプンから作られます。
アーモンドはウメ、モモ、スモモ、アンズなどのバラ科サクラ属の落葉高木と同じなので可愛らしい花を咲かせます。果実は、皮、果肉、核、仁からなり、食用になるのは種の中の仁と呼ばれる部分です。
ブルーベリーは果実が濃い青紫色に熟すことからブルーベリー(Blueberry)と呼ばれています。白色や淡紅色の小花を花房でつけ4月上旬から開花します。果実はドライアイや眼精疲労の緩和に有用です。
婦人科の要薬・牡丹、芍薬、紅花
牡丹も芍薬も同じボタン科で古くから観賞用と薬用に使われてきました。
牡丹の葉はツヤ(光沢)がなくギザギザの形で切れ込みがあり、芍薬の葉はツヤがありシュッとして切れ込みはありません。
牡丹の根皮は血のめぐりをよくし月経痛には芍薬、紅花、当帰と一緒に用います。漢方では加味逍遥散に配合されています。
牡丹の「牡」はオスのことで、種子ができにくいことから昔はオスの花と見られていましたが、花が豪華な事から「花王」とも呼ばれています。
芍薬の薬は赤芍と白芍の二つがあります。芍薬の根を乾燥させた赤薬は涼血に働き、根の皮を除いたあとに乾燥させた白芍は補血に働きます。古代は赤薬と白芍は区別がされていませんでしたが「宋」の『図経本草』ではじめて区別されて記載されました。
紅花はエジプト原産の一年草でアザミに似た花を咲かせ鮮黄色から紅色に変化します。日本へはシルクロードを経て渡来しました。花を乾燥させたものを生薬として使い血のめぐりを良くします。多用すれば血のめぐりを良くし、小用すれば養血する使い方もあります。
また紅色色素と黄色色素を含んでいるため化粧品にも使われます。
滋養強壮
山茱萸(サンシュユ)は早春に黄色の4弁花をつけた花をたくさん咲かせます。日本では公園、庭園などに植えられています。生薬として使うのは果肉で滋陰にも補陽にも働きます。漢方の八味地黄丸に配合され熟地黄、クコの実とあわせて使うと滋養強壮に働きます。
淫羊藿(インヨウカク)は男性の性的不能・女性の不妊・老化による腰や膝の衰えなどに用いられ養命酒や滋養ドリンク剤に配合されています。本草綱目にも淫羊藿(インヨウカクの花の蕾)を食べた羊が「一日百遍交合す」と記されています。
地黄(ジオウ)はモンゴル原産の多年草で長柄の淡紅紫の花をたくさんつけます。秋に肥大した根を乾燥させたものが生薬の地黄です。
薬能に応じて使い分けされ、生地黄(陰干しの根)は寒性で涼血に働き、熟地黄(根を酒と一緒に蒸す)は補血に働きます。漢方の八味地黄丸に配合されます。
脾胃をととのえる
月桂樹の葉は香味料として特に煮込み料理などに使用されます。精油成分を多く含み健胃に働きます。花はポンポンのような薄黄色。
山査子(サンザシ)は4月~6月に開花します。秋に果実を収穫し乾燥させたものが生薬の山査子です。肉料理とあわせるとパワフルに消化を促進してくれることから薬膳では「食べたものをなかったことにする山査子」と言われています。
仏教の三大聖木「ムユウジュ」
薬用植物園の温室では珍しい花を見ることができます。
漢名は無憂樹(ムユウジュ)。仏教の三大聖木のひとつで、マーヤ夫人がこの花を愛で、一枝折ろうとしたときに右わき腹から釈迦が出生したと伝えられています。5月頃に芳香ある花をさかせ、インドでは乙女の恋心をかなえる木、また、出産、誕生・結婚にかかわる「幸福の木」として愛好されています。
駐車場が空いてなかった時は、東大和市駅前の駐車場スマイルパーク、ビックボックスをご利用ください。12時間で600円~1,000円前後です。
場所:東京都小平市中島町21-1
入場料無料、無料駐車場 約9台
園内には車椅子用トイレがあり。花壇通路・温室内は車椅子で通行できます。
公式サイト:https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/lb_iyaku/plant/