8.出す

豚腸(ブタチョウ/モツ・ホルモン)

薬膳効果
下焦の改善(腸、排泄)

豚の腸(モツ)大腸・小腸の違いと薬膳効能|潤腸作用で便秘や乾燥を改善

豚の腸は、一般的に「モツ」や「ホルモン」と呼ばれる部位です。大腸は「シロ」、小腸は「ヒモ」と呼ばれ、煮込み料理や焼き肉で親しまれています。

大腸や直腸は厚みがあり、脂の旨味と独特のコクが特徴です。煮込み料理では「モツ煮込み」、焼き肉では「ホルモン焼き」と呼ばれることが多く、日本でも昔から滋養食として食べられてきました。
中国料理では煮込みや揚げ物に使われることが多く、山東料理の代表格「九転大腸(大腸の醤油煮込み)」は有名な伝統料理です。

豚のモツの薬膳効能「補虚損」と「潤腸」

薬膳では豚の腸は「大腸」に帰経し、主な効能は「補虚損(ほきょそん)」「潤腸(じゅんちょう)」です。

「補虚損」とは、体力の消耗や慢性的な疲労を補う働きのことです。
豚のモツは、濃厚な脂と栄養を含み、虚弱体質や疲労感が強いとき、産後や病後の体力低下時に適した食材とされます。特に下半身の弱りを感じる人に向いています。

潤腸作用で便秘や乾燥を改善

豚の腸には「潤腸」の働きがあります。これは、腸を潤し、乾燥による便秘をやわらげる作用です。特に加齢や血虚によるコロコロ便、腸の乾燥感がある人によいとされます。

また薬膳では、「以蔵補蔵(いぞうほぞう)」という考え方があります。これは、同じ部位の臓器を食べることで、その臓の働きを補うという思想です。豚の腸を食べることで、人間の下焦、つまり下半身や排泄、生殖、腸の働きを整える助けになると考えられてきました。

そのため、以下のような不調に用いられることがあります。

・便秘
・痔
・脱肛出血
・排泄力の低下

胃腸が弱い人は食べ過ぎに注意

一方で、豚のモツは脂が多く、消化に負担がかかる食材でもあります。薬膳では、胃腸が弱い「脾虚(ひきょ)」タイプや、軟便・下痢を繰り返しやすい人は食べ過ぎに注意が必要とされます。

また、冷たいビールや大量の脂と組み合わせると、胃腸に湿がたまり、重だるさや消化不良につながることがあります。この場合は、薬味として生姜、ねぎ、山椒、にんにくなどを加えると、消化を助け、重さをやわらげることができます。

中医営養学

イノシシ科イノシシ属
甘/微寒
性味
大腸
帰経
補虚損、潤腸
効能
便秘、脱肛
適応

本草綱目

甘/微寒
補虚損、下焦の虚竭。潤腸治燥。

薬膳効能|部位別

豚の心臓(ハツ)

豚の心臓はハツと呼ばれ、日本では串焼きが多い。脂肪分が少ないためコリコリする食感がある。
甘鹹/平、心経
養心安神、養血。心虚による多汗、不眠に。

豚の腎臓(ぶたマメ)

豚の腎臓はソラマメの形に似ていることからマメと呼ばれ、アンモニア臭が強いので、水にさらしてからボイルまたは高温の脂で油通しをして臭みを抜く。
甘鹹/平、腎経
補腎益精、利水。インポテンツ、精髄虚弱、四肢弱体の改善。

豚の肺(フワ)

海綿状の食感が特徴で韓国料理の食材として用いられる。
甘/微寒、肺経
補肺止咳、清熱。肺虚や肺燥による咳の改善。