産後の回復と大豆「日本の食卓に根付く優しさ」
産後の回復とは、木々が春を迎えるように、母親の体もゆっくりと元に戻ろうとする時期。
産後の母親をいたわるために、決して特別な料理は必要ではありません。豆腐の一切れ、納豆ごはん、そこに込められた自然の恵みと、古来からの知恵こそが何よりも大切です。
日本の食卓に並ぶ食材には、長い歴史の中で培われた知恵が詰まっている。特に産後の母親たちが体をいたわり、回復を促すために食べるものは古くから大切にされてきました。その中心にあるのが「大豆」。
育児に追われる日々の中で、体は言葉にならない疲れを感じるでしょう。そのような時には、滋養と穏やかさを兼ね備えた食が必要です。柔らかな豆腐は疲れた体を静かに癒す。納豆は身体を温め美味しさが沁み渡る。
「食」の中に潜む、深い知恵と温かさを感じよう。

産後に大豆製品はどのように良いのでしょうか?
食卓に欠かせない豆腐、納豆などは、大豆から生まれる美味しい食品。産後ケアにフォーカスして薬膳効能を比べました。
産後ケア「豆腐」
大豆は平性ですが豆腐になると寒涼性になるため、余分な熱をさまし臓腑を潤します。口や体内の渇きを感じた時に豆腐はそのまま手軽に食べられるのでおすすめです。冷えが気になるときは生姜、ネギ、紫蘇などの温性の食材を薬味に使いましょう。
『中国薬学書』による母乳不足の改善には、豆腐 20g に対し、黒砂糖 100g を加えて加熱し、黒砂糖が溶けたころに米酒 50g を加えて食べるとよいとされています。

産後ケア「納豆」
納豆は発酵の過程をたどるため性質は温性になり、血を巡らせる「活血」の効能が加わります。体を温めて血の巡りをよくする働きは産後の回復を助けます。活血をもう少し高めたいときは、黒砂糖、生のタマネギを加えるとよいでしょう。
また、ナットウ菌により大豆のタンパク質が消化しやすくなっているため、胃腸が弱い時に元気をつけるための食品として納豆はとてもおすすめです。
