3.調える

蓮の実/蓮肉(ハスノミ・レンニク)

薬膳効果
脾腎の調整・精神安定

心の健康と脾腎の能力を高める蓮の実

蓮の実は中国では生薬と食材の両方で使われます。食材では餡に加工して菓子に用いられ「蓮茸月餅(蓮の実入り月餅)」が代表的です。蓮の実の真ん中にある「蓮芯(れんしん)」は苦味が強いため食材として売られているものは芯を取り除いたものが使われます。

蓮の実と蓮芯

薬膳の効能は消化の要である脾の働きをよくし食事からの栄養を吸収しやすい体にととのえます。また心を落ち着かせ精神の安定にも貢献してくれます。
食が細く体力がとぼしく、それゆえに精神不安になりやすい人に向いている食材です。

脾と腎の機能を高める効果

蓮の実は脾虚(脾胃が弱い)に適した食材です。脾虚の人は体質的に消化機能の低下があり、軟便、消化不良、不眠、おりもの過多になりやすい傾向にあります。
蓮の実の「補脾」と「補腎」の働きは食べ物からエネルギーを吸収しやすい体に戻し虚弱による体質を改善してくれます。

心を健やかにして不安感を解消する

「心」が原因で起こりやすいトラブルは、心が落ち着かない(精神不安・煩躁感)、夢をよく見るなどがあげられます。そのような症状がある時は薬膳では心を養う「養心」の食べ物をとり養心安神の処方を試みます。悩みすぎ、疲労などで心が落ち着かない時は、養心安神プラス脾の働きをよくする蓮の実が有用です。

中医営養学

スイレン科ハス属
甘渋/平
性味
脾、心、腎
帰経
養心安神、補脾腸渋、補腎固精
効能
心気虚、不眠、下痢、遺精、帯下
適応

本草綱目

蓮実:甘/平 補中養心、益気力
久服:軽身耐老、不飢延年、止渇去熱

蓮の実を使ってみよう!

蓮の実の食べ方「薬膳レシピ」

蓮の実は中国や東南アジアではアジアンスイーツとして、おしるこに入れたり、甘く味付けをした蓮の実をデザート混ぜたりと広く食用にされています。
日本のスーパーではメジャーでないため、あまり知られていない蓮の実ですが、クセがないので煮物やスープの材料として薬膳では使いやすい食材です。

薬膳レシピ「蓮の実ごはん・蓮の実粥」

とても簡単な食べ方は、お米と一緒に炊くだけの蓮の実ごはんが手軽です。味はホクホクとした栗のような感触です。私の友人は蓮の実入りご飯でつくった「おにぎり」を良く食べていました。

脾胃の虚弱をじっくり改善したいときは、蓮の実、はと麦、もち米、でつくるお粥もおすすめです。

蓮茸月餅(蓮の実入り月餅)

中国では蓮の実を餡として利用したお団子、月餅などもあります。やさしい独特の風味が楽しめます。
蓮の実を良く洗いたっぷりの水に一晩つけたあとに、柔らかくなるまで煮て潰し、砂糖、好みの油を入れて良く混ぜると餡はできます。

蓮について

蓮の実はハスの花後に実をつけます。
実際に蓮に実がついている様子は、蜂の巣のようでちょっと怖い印象を受けるかもしれません。蓮の実が包まれている部分は蜂巣(ハチス)と呼びます。

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