6.補う

鰹(カツオ)

薬膳効果
体力強化、安眠

カツオは心と体に元気と精をつける魚

カツオは、古くから日本の食卓に欠かせない魚ですが、薬膳の視点でも注目すべき存在です。カツオには気血を補う効能があり、特に元気がないと感じるときや、なかなか眠れないときにおすすめの食材で、気血を補って元気と精をつける魚です。

鰹パワー「元気と安眠をもたらす」

カツオは気と血の両方を補う「補気益血」の効能があります。気は、身体を動かし、温めるエネルギーのような存在。血は、全身に栄養を届け、肌や臓器を潤す大切な要素です。これらが不足すると、疲れやすくなったり、気持ちが落ち込みやすくなったり、不眠に悩まされることもあります。
カツオは、そんな状態を整える力を持つ魚で、疲労回復や睡眠の質を良くします。

鰹パワー「元気と精をつける」

カツオは、消化機能を担う「脾」に作用し、消化吸収の力を高めることで、さらに気血の生成を促します。その結果、体に必要なエネルギーが満ち、体力や活力の向上につながります。

また、カツオは生殖や成長をつかさどる「腎」にも作用し、精をつける魚として知られています。そのため、老化予防にも役立ち、体力不足や足腰のだるさ、頻尿などの症状を和らげる効果が期待できます。

初カツオと戻りカツオ

カツオの旬は年に2回あり、春の「初ガツオ」と秋の「戻りガツオ」があります。初ガツオは脂が少なくさっぱりとした味わいで、気を巡らせて身体のだるさを取り除くのにぴったり。一方、脂がのった戻りガツオは、血を養い、心身の疲れを回復するのに適しています。
季節や体調に合わせて食べ方を工夫すると、より薬膳の力を引き出せます。

中医営養学

サバ科カツオ属
甘/平
性味
腎、脾
帰経
補気益血、健胃益精
効能
気血両虚証、腎虚証、虚労、老化、不眠
適応

食物本草

鰹:酸鹹/熱 小毒 生血熱 動風

食エッセイ「鰹」

カツオの赤に惹かれ「女は血を以て本と為す」

魚なのに「赤い肉」を持つカツオ。牛肉やマグロのそれとは違う、やや黒みを帯びた深い赤。

薬膳では「血」は、単なる血液だけでなく、栄養やホルモンを含む総合的な概念としているから「女性は血を補うものを食べなきゃだめよ」と言う。だから仕事の疲れが抜けない日、顔色が冴えない朝、鏡に映る自分の顔がどこかぼんやりしていると感じたとき、私はカツオが食べたくなる。

カツオには、血をたっぷり補う力がある。だから、毎月のリズムで血を失いやすい女性にはぴったりの食材らしい。正直、料理のたびに意識しているわけではないけれど、カツオの赤は、見ているだけで「食べなきゃ」という気持ちにさせる。

「女は血を以て本と為す」ということわざがあるように、女の健康は血が基本。

カツオのたたきサラダ

カツオ、生タマネギ、ミョウガを使った「カツオのたたきサラダ」は、鰹の気血を補う働きと、生タマネギの巡らせる働きの組合せ。
さっぱりしつつも旨味がしっかり感じられる一品です。薬味やソースにこだわると、さらにおいしく仕上がります。

<材料(2〜3人分)>
カツオの刺身用(たたき)
生タマネギ 1/2個(薄切り)
ミョウガ 2〜3本(薄切り)
青ねぎ(あれば) 適量(小口切り)
しょうが(みじん切り) 1片分

〈ベーシックソース〉
ポン酢 大さじ3
ごま油 小さじ2
塩 少々
こしょう 少々

〈和風ドレッシング〉
醤油……大さじ2
オリーブオイル……大さじ1.5
ポン酢……大さじ1
すりおろし生姜……小さじ1
にんにく(すりおろし)……小さじ1/2
塩・こしょう……少々

【作り方】
・カツオは5mmほどの薄切りにする。

薬味の準備
・玉ねぎは薄切りにする。大葉、みょうが、小ねぎは食べやすく切る。

ソースの準備
・ボウルに材料をすべて入れ、よく混ぜる。

盛り付け
・お皿に玉ねぎを敷き、その上にカツオを並べる。刻んだ薬味をたっぷりのせ、ソースを回しかける。

【ポイント】
玉ねぎやみょうがなどの薬味はたっぷりのせるのが美味しさの秘訣。和風ドレッシングは、オリーブオイルを少し多めにするとコクが増し、仕上げに黒胡椒や七味唐辛子をふると、さらに風味が引き立ちます。

お酒のお供にはもちろん、血が不足してる~!と感じた時の一品です。