6.補う

桑の実/桑椹(クワノミ・ソウジン)

薬膳効果
肝腎を滋養し黒髪明目に

健康と美容の果実「桑の実」

日本では桑は主に蚕の食草として栽培され果実の利用は発展しませんでしたが、近年ではアントシアニンに抗酸化作用があることで健康や美容食として注目されるようになりました。

一方、中国では古くから果実は食用や薬用と利用され、桑の実を食べれば、白髪を予防し、目は光がさしてよく見えるようになる「黒髪明目」の民間薬として好まれ、葉と根皮は生薬として利用されてきました。

肝腎の滋養食材

桑の実は肝腎を滋養するため、肝腎の衰えにともなう老化症状(耳鳴り、視力低下、膝腰弱い、ふらつき)を改善する抗衰老に働きます。

漢方「桑の実の効能」

桑の実の生薬名は「桑椹(ソウジン)」、養血薬に分類されています。
熟した桑の実は赤黒色でその色合いから、血を養い滋陰補血に働きます。陰血不足による、眩暈、目かすみ、白髪、不眠に有効ですが薬性が緩和なため続けて食べる必要があります。

養血薬とは

血虚を改善するときに用いられます。血虚の一般症状は、顔色に艶がない、口唇や爪が蒼白、頭のふらつき、めまい、月経周期の延長、不眠、健忘などがあります。このような症状がみられる時は積極的に養血の食材をとるとよいです。

桑の実

クワ科クワ属
甘/寒
性味
心、肝、腎
帰経
補五臓、滋陰補血、補益肝腎
効能
気血両虚証、陰虚証、不眠、眼精疲労
適応

本草綱目

桑椹:止消渇、利五臓、関節痛
久食:不飢、安魂、鎮神、令人聡明

桑の木

薬の宝庫「桑の木」

中国では古くから栽培され薬用に使われ、桑の木には、葉、枝、果実、根などの部位がありそれぞれに特徴的な成分が含まれ薬効が異なります。

桑の葉

桑の葉の生薬名は「桑葉(ソウヨウ)」、辛涼解表薬に分類されています。
葉の薬効は軽量なため上に昇るため主に上半身に働きます。風熱による頭痛、頭のふらつき、喉の痛み、さらに涼血の効能も兼ねており、目の充血にも有効です。
また晩秋に採取した霜桑葉、冬桑葉の方が効果は優れています。

桑の枝

桑の枝の生薬名は「桑枝(ソウシ)」、袪風湿薬に分類されています。
葉の薬効は枝の形状から四肢に達して関節を利して止痛に働きます。関節に溜まる水を除くため、風湿による関節痛、さらに利水の効能も兼ねておりむくみ、脚気にも有効です。

桑の根

桑の根の生薬名は「桑白皮(ソウハクヒ)」、止咳平喘薬に分類されています。
桑白皮の清熱にはたらき肺熱による咳、呼吸困難をおさめます。さらに利水の効能も兼ねておりむくみにも有効です。

部位ごとの性質

桑葉、桑枝、桑白皮はいづれも清熱に働きます。
桑葉は軽くて上昇の性質で肺にこもった熱を散らします。桑白皮は肺に入り下降の性質で肺の熱火をおさめ痰水を除きます。
桑枝は経絡に入り、利関節に働きます。

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