薬膳効果
美肌、便秘改善

ラード(豚の脂肪)の薬膳効果とは?潤いを補い、肺と腸を助ける食材

豚の脂肪から作られる「ラード」は、料理のコクや香ばしさを生み出すだけではありません。薬膳では、体に潤いを与え、乾燥による不調を和らげる食材として知られています。

現代では「脂=悪者」というイメージを持たれがちですが、薬膳の世界では、体質や季節によって必要な“良い油”があります。特に、乾燥による便秘や、肺の潤い不足による空咳、体力低下による消耗感がある人には、ラードの持つ「滋陰潤燥」の力が役立つとされています。

ラードとは?豚の脂肪から作られる伝統的な養生油

ラードとは、豚の脂肪を加熱して溶かし、集めた油脂のことです。豚の脂肪には、皮下脂肪にあたる「背あぶら」と、内臓脂肪にあたる「腹あぶら」があり、それらを煮溶かして脂肪分だけを取り出したものがラードです。

中国では古くから食用として使われ、『詩経』には「脂を焼いて天を祭る」という記述も見られます。皮下脂肪そのものを料理に使う文化もあり、単なる調理油ではなく、滋養食として扱われてきました。
また、民間医療では、軟膏の原料として利用されることもあり、乾燥を防ぎ、皮膚を守る油としての役割も担っていました。

ラードの薬膳効能|滋陰潤肺・瀉下

ラードの主な薬膳効能は、以下の通りです。
・滋陰潤肺(じいんじゅんぱい)
・瀉下(しゃげ)

「滋陰潤肺」とは、体の潤いを補い、乾燥しがちな肺をやさしく潤す働きのことです。
薬膳では、肺は「乾燥に弱い臓」と考えられています。空気が乾く季節や、疲労によって体液が不足すると、喉の乾燥、空咳、肌のかさつきなどが起こりやすくなります。ラードは、そうした乾きをやわらげる食材として使われてきました。

「瀉下」は、腸を潤して便通を促す働きです。
特に腸内の乾燥によって便が硬くなっているタイプの便秘に向いています。高齢者や、病後・産後など体力が落ちている人の便秘にも使われることがあります。

ラードを薬膳的に食べるコツ

ラードは少量でも香りとコクが強いため、炒め物やスープに少し加えるだけでも十分です。

おすすめの組み合わせは、
白菜
大根
長ねぎ
山芋
白きくらげ
豆腐
など、肺や腸を潤す食材とあわせる。

特に、冬の乾燥時期には、ラードを少量使った温かい、スープや炒め物が、体をしっとり整えてくれます。
一方で、胃もたれしやすい、脂っこいものが苦手、湿熱体質でニキビが出やすい、という人は摂りすぎに注意しましょう。

ラードは単なる「動物性脂肪」ではなく、薬膳では体を潤し、肺や腸の乾燥を助ける食材。特に、乾燥による空咳や便秘、体力低下による消耗感があるときには、「脂で潤す」という考え方が役立つことがあります。

中医営養学

イノシシ科イノシシ属
甘/涼
性味
肺、大腸
帰経
滋陰潤肺、寫下
効能
皮膚乾燥、肌荒れ、便秘
適応