牛乳の薬用効果を薬膳の効能から探る
中国では古くから牛乳の保存性を高めるために「酪」と称する乳酸発酵飲料に加工してきました。牛乳そのものも飲んでいたようですが、それは特別な薬用効果を期待するために飲んでいたと考えられています。
五臓を補い、気血虚弱を回復させる
牛乳が料理に登場したのは唐代の食経に牛乳で煮た鶏肉料理で、これは体力低下、痩せ、気血虚弱の改善に使用されたと思われます。また牛乳を沸かし蜂蜜と卵を加えて混ぜ合わせる「蛋蜜牛乳」も『中国飲料保険学』に記載されています。
今日では広東料理の「炒牛奶(牛乳の卵白炒め)」やデザートの「双皮奶(牛乳プリン)」が伝統料理として食されています。
牛乳の薬膳効能
牛乳は微寒で冷やす性質と滋潤作用があるため、体内を潤しながら余分な熱を取り除く効能があります。
また、気血を補い骨を強化するため、体力回復、成長期や発育に必要な栄養を提供し体を丈夫にしてくれます。また、心に作用することで、心を落ち着かせストレスによる不眠の改善にも役立ちます。
牛乳は潤性をもつため、体の潤いが不足している人、ほてりがある人に特に適しているといえるでしょう。むくみやすい人には温性の食材とあわせてとるとバランスがとれます。
乳糖不耐症と牛乳とヨーグルト
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするのは、乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)」。これは牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解するラクターゼが欠乏することで消化不良、腹部不快、腹痛、下痢などの症状が起こります。年をとり乳製品をとる機会が減るとそれに比例し、乳糖の消化ができない体になっていったりもします。
一方ヨーグルトは発酵により乳糖(ラクトース)の一部が分解されるとの、乳酸菌が乳糖の分解を助けるため、お腹がゴロゴロする人は牛乳よりヨーグルトがよいでしょう。
またカルシウムを補給を目的にする場合、日本人は牛乳よりも伝統食の煮干しや小魚を食べる方がカルシムを吸収しやすいと言われています。