5.潤す

牛乳/乳(ギュウニュウ・ニュウ)

薬膳効能
虚弱改善、体力回復

牛乳の薬用効果を薬膳の効能から探る

中国では古くから牛乳の保存性を高めるために「酪」と称する乳酸発酵飲料に加工してきました。牛乳そのものも飲んでいたようですが、それは特別な薬用効果を期待するために飲んでいたと考えられています。

五臓を補い、気血虚弱を回復させる

牛乳が料理に登場したのは唐代の食経に牛乳で煮た鶏肉料理で、これは体力低下、痩せ、気血虚弱の改善に使用されたと思われます。また牛乳を沸かし蜂蜜と卵を加えて混ぜ合わせる「蛋蜜牛乳」も『中国飲料保険学』に記載されています。
今日では広東料理の「炒牛奶(牛乳の卵白炒め)」やデザートの「双皮奶(牛乳プリン)」が伝統料理として食されています。

牛乳の薬膳効能

牛乳は微寒で冷やす性質と滋潤作用があるため、体内を潤しながら余分な熱を取り除く効能があります。
また、気血を補い骨を強化するため、体力回復、成長期や発育に必要な栄養を提供し体を丈夫にしてくれます。また、心に作用することで、心を落ち着かせストレスによる不眠の改善にも役立ちます。

牛乳は潤性をもつため、体の潤いが不足している人、ほてりがある人に特に適しているといえるでしょう。むくみやすい人には温性の食材とあわせてとるとバランスがとれます。

乳糖不耐症と牛乳とヨーグルト

牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするのは、乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)」。これは牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解するラクターゼが欠乏することで消化不良、腹部不快、腹痛、下痢などの症状が起こります。年をとり乳製品をとる機会が減るとそれに比例し、乳糖の消化ができない体になっていったりもします。

一方ヨーグルトは発酵により乳糖(ラクトース)の一部が分解されるとの、乳酸菌が乳糖の分解を助けるため、お腹がゴロゴロする人は牛乳よりヨーグルトがよいでしょう。
またカルシウムを補給を目的にする場合、日本人は牛乳よりも伝統食の煮干しや小魚を食べる方がカルシムを吸収しやすいと言われています。

中医営養学

ウシ科ヒツジ属
甘/微寒
性味
心、肺、胃
帰経
補虚損、生津潤燥、止渇
効能
気虚証、陰虚証、疲労、皮膚の渇き
適応

本草綱目

甘/微寒 補虚損、止渇、養心肺、解熱毒、潤皮膚、冷補し熱気を下す

食エッセイ「牛乳」

ゴロゴロするから、ヨーグルトにしてしまえ

牛乳を一口飲んで、しばらくすると、どうもお腹が「ゴロゴロ」と音を立て始める。どうやら私には、牛乳の中の乳糖をうまく消化できないタイプらしい。かといって、牛乳が嫌いかと言えばそんなことはなくて、あの白くてまろやかで、どこか優しい香りがする飲み物にはやっぱり惹かれてしまう。

だから「ヨーグルトにしてしまおう」というのが私の落とし所だ。ヨーグルトは、牛乳を発酵させて乳酸菌の力で乳糖を分解してくれるので、私みたいなお腹にとっては優しい存在。しかも、ヨーグルトには乳酸菌のおかげで腸内環境を整える効果があるっていうじゃない? それでいて栄養価も牛乳と変わらないし、カルシウムもそのまま、いや、むしろちょっと消化吸収が良くなったくらいかもしれない。

もし牛乳を飲むたびに「ゴロゴロ」が気になるなら、無理せずヨーグルトに変えてみるといい。好きだけど少し苦手なものを、自分に合った形にして取り入れていくこと。そんな風に、心も体も無理なく、自分のペースでバランスを取るのが、一番大事なのかもしれない。

牛乳とヨーグルトの効能の比較

一般的なヨーグルトの作り方は、牛乳に乳酸菌を加え発酵させてつくります。
乳酸発酵することで酸味が加わり性質は平性になります。また消化吸収しやすい状態になるため、滋潤性が高まり、肺、脾、大腸を潤し、ほてり、乾燥肌、便秘によいです。