四季寒暖の味噌えらび
味噌はたんなる調味料ではなく、大豆、麹、天日塩が織りなす食の技芸。
年月をかけて熟成すれば、大豆の素朴な旨味は力強く広がり、麹の香りは優雅に、その塩気は穏やかに、一段と奥深い存在へと変わっていく。
味噌は時間を味方につけて変化していく。
人の味覚は四季寒暖に合わせて変わっていく。
夏の暑さの中では、さっぱりとした甘めの味噌が心地よく、冬の寒さには、塩気の強い味噌が恋しくなる。それに合わせて好みを生かす味噌を選んでみる。新しい発見があるから、飽きることはない。
そしてあたり前のように食卓に並ぶ味噌汁で今日も元気になる。
味噌のいろいろ
どのような味噌を選ぶかは料理や季節、個々の好みによりますが、違いを理解すると、より自分好みの味噌を見つけることができるようになります。
甘口と辛口
甘口と辛口の違いは、主に「塩分の量」「麹の歩合」「発酵の進み」によって生まれます。麹歩合が高いほうが甘口に仕上がりますが、地域ごとに特有の味噌文化があり、それも甘口・辛口の違いに影響しているようです。
甘口味噌は、一般的に塩分が少なく、麹の割合が高いことが特徴です。塩分が少ない分、麹の甘みが引き立ち、まろやかな味わいになります。甘口の味噌は発酵期間が短めで、発酵が浅いことが多いため軽やかな風味を持ちます。
辛口味噌は、塩分が多く、発酵期間が長いことで、味が濃く深い旨みを持つのが特徴です。塩分が多いことで、甘口味噌に比べて保存性も高く、発酵が進んだ豊かな香りと濃厚な味わいが楽しめます。
麹の違い
麹の違いにより、米味噌、麦味噌、豆味噌にわかれます。また白、赤、淡色などの色の違いは麹の割合による。
米味噌:大豆・米麹(全国で生産)
麦味噌:大豆・麦麹(四国や九州地方)
豆味噌:豆(中京地方の八丁味噌)
日本、中国、韓国の味噌
日本、中国、韓国、の味噌は、発酵文化の影響を受けながらも、それぞれの地域特有の材料や発酵技術によって異なる味わいと特徴があります。
日本の味噌
日本の味噌は、主に大豆、米麹(あるいは麦麹、豆麹)、そして塩を発酵させて作ります。地域や使用する麹の種類、発酵期間によって、味噌の味わいは甘口から辛口まで多様です。色も白味噌のように淡いものから、赤味噌や黒味噌のように濃いものまでさまざまで、主に味噌汁、鍋、調味料などに使われます。
中国の味噌
中国では、味噌に似た調味料としていくつかの発酵食品があります。特に代表的なのが豆瓣醤(トウバンジャン)と黄醤(ホワンジャン)、甜面醤(テンメンジャン)です。これらは、日本や韓国の味噌とは異なり、唐辛子や甘味料を加えることが多く、発酵大豆と他の食材を混ぜて作られます。主に調味料として炒め物、麺のスープなどに使われます。
韓国の味噌
韓国のテンジャンは、大豆と塩を発酵させて作られ、米麹ではなくメジュ(発酵させた大豆の塊)を用いるのが特徴です。日本の味噌に比べ、発酵期間が長く香りが強く。塩辛く、濃厚な味わいがあります。また、テンジャンの風味は独特で発酵臭が強めですが、旨味も豊富です。主に味噌鍋、炒め物、ソースやディップに使われます。
各国の味噌は、地域ごとの発酵文化や食文化に根ざしており、料理に使う際もその特徴が生かされています。それぞれの味噌が持つ独特の風味を理解し、料理に合わせて使い分けることで、さらに豊かな食体験を楽しむことができます。