4.通す

三つ葉(ミツバ)

薬膳効果
ストレス緩和

気の流れを促しストレス緩和に効く

三つ葉は日本原産の香味野菜として、古くから日本の食文化に根付いてきました。その歴史は意外に深く、時代ごとに異なる役割を担ってきました。

三つ葉は「薬草」「薬味」

平安時代には三つ葉は「薬草」として用いられ、当時は主に薬膳的な目的で活用されていたと考えられます。三つ葉特有の香りは、邪気を払うと信じられ、行事食や儀式の料理にも用いられました。山菜の一種として自然採取されることが多く、旬の時期には貴族や僧侶の間で重宝されていたようです。

江戸時代になると、三つ葉はより一般的な食材として広まり栽培が本格化しました。特に関東地方では、日光をあてずに軟化栽培する「根三つ葉」と呼ばれる根付きの三つ葉が好まれ、鍋物や雑煮の具として親しまれていました。この頃から、日本料理の繊細な風味を引き立てる薬味としての地位を確立します。

三つ葉の薬膳効果

三つ葉の爽やかな香りには、肝の働きを整え、気の巡りをよくする「疏肝」の効能があります。気が滞ると、イライラ、緊張、胸脇が凝るような痛みといった不調が現れやすくなりますが、三つ葉は、それを和らげ穏やかな状態へと導きます。

三つ葉が属するセリ科の植物には、気の流れを促進し、精神安定にはたらくものが多くあります。例えば、セロリやパクチー(香菜)もその一種で、いずれも独特の香りが心を落ち着け、ストレスを軽減するのに役立ちます。

三つ葉の香りには、ストレスを緩和させる精油を含んでいるので、チョイ足しの薬味として用いるのが良いでしょう。

中医営養学

せり科ミツバ属
辛苦/平
性味
肝、脾、胃
帰経
疏肝理気、消炎解毒
効能
気滞証、イライラ、痰がらみ
適応