薬膳効能
美肌、腸を潤す

気血を補い邪気を払う桃

桃は中国を原産地とする古い栽培歴をもつ 果物のひとつで、日本には栽培種が弥生時代に伝えられたといわれています。
また邪気を払い、不老長寿をもたらす仙果として考えられるようになり中国では縁起物としても親しまれています。日本の『古事記』 にも邪気を払う果物として現れている果物です。

桃は身体を温める果物

桃は夏の果物では温める性質をもつ数少ない温性フルーツです。80%以上が水分ですが胃腸を冷やさず体や腸を潤し整腸機能を助けます。「長生果」と呼ばれるバランスの良い果物で小児、老人、冷え性の人も安心して食べられます。

美容効果と便秘予防に

桃の体を潤す「生津」「潤腸」の働きは、腸の乾燥による便秘を解消してくれます。また潤いの効果に加えて、気を補い、血の巡りをよくする働きもあるため、内側からの潤いと元気をつける美容の果実で、肌の色艶をよくしてくれます。

肺の果である桃

古典の『本草綱目』に「桃は肺の果である。肺の病はこれを食うが宜し。冬桃を食えば労熱を解す。」と記載されています。気血を補い身体を潤す桃は、肺気虚による咳、肺燥を伴う咳の症状にも有効な果物です。

中医営養学

バラ科サクラ属
甘酸/温
性味
肺、脾、肝
帰経
補気生津、潤腸、活血化瘀
効能
口渇、便秘、疲労、咳
適応

本草綱目

辛酸甘/熱 微毒
肺の果である。肺の病はこれを食うが宜し。冬桃を食えば労熱を解す。

桃の薬効

桃がもたらす女性ホルモンの影響

桃の種(仁)は、血の巡りをよくし月経不順をととのえ女性ホルモンの乱れを正す漢方の薬として用いられます。

桃仁の薬効

桃を食べると中に大きな種がでてきます。その種を割ると中からアーモンド状の「桃仁(トウニン)」がでてきます。桃仁は薬として使われ破瘀(はお)の作用があります。破瘀とは血の滞りによって、よどんだコリの部分を破り新しい血が生まれてくるのを助けます。

桃の種

桃の花、葉の効能

長生果と呼ばれた桃の木にはどのような働きがあるのでしょうか。

桃奴(トウド)

木の上で乾燥し、冬になっても落ちない桃でお正月に採取されます。味は苦く「微温性」で妊婦出血、寝汗、遺精に用います。

桃花(トウカ)

花を旧暦の三月三日に摘み、絹の袋にいれ日陰で乾燥させてから使います。顔色をよくし、浮腫み、便秘を解消します。

桃の花

桃葉(トウヨウ)

若葉の方が効果は強く鎮静作用があり頭痛や神経痛に使われ、外用するとあせも、肌あれを解消します。

桃の香りと邪気払い

日本、陰陽道でも桃は魔除け、厄除けの果物といわれます。
日本神話では伊弉諾尊が黄泉の国から戻る時に、追手から逃れるために桃を投げつけたり、現在の京都市上京区にある陰陽師で名高い晴明神社にも「厄除桃」が飾られています。
そして上巳の節句、3月3日桃の節句には、女の子を悪鬼や邪気から守るために、魔が入らないように桃の花を飾ります。

古代中国では桃を食べると長寿になると信じられ、長寿の仙人が桃を手にもつ絵画も存在し「長生果」「仙果」と呼ばれました。桃の香り、美味しさは普通の果物とは違って桃源郷の不老不死の仙果だとも考えられていました。