桃は夏の果物では温める性質をもつ数少ない温性フルーツです。80%以上が水分ですが胃腸を冷やさず体や腸を潤し整腸機能を助けます。「長生果」と呼ばれるバランスの良い果物で小児、老人も安心して食べられます。
中医営養学
- 期待される効果
- 甘酸/温
- 性味
- 肺、脾、肝
- 帰経
- 補気生津、潤腸、活血化瘀
- 効能
- 口渇、便秘、疲労、咳
- 適応
本草綱目
辛酸甘/熱 微毒
肺の果である。肺の病はこれを食うが宜し。冬桃を食えば労熱を解す。
桃のスピリチュアルな意味
日本、陰陽道でも桃は魔除け、厄除けの果物といわれます。
日本神話では伊弉諾尊が黄泉の国から戻る時に、追手から逃れるために桃を投げつけたり、現在の京都市上京区にある陰陽師で名高い晴明神社にも「厄除桃」が飾られています。
そして上巳の節句、3月3日桃の節句には、女の子を悪鬼や邪気から守るために、魔が入らないように桃の花を飾ります。
古代中国では桃を食べると長寿になると信じられ、長寿の仙人が桃を手にもつ絵画も存在し「長生果」「仙果」と呼ばれました。桃の香り、美味しさは普通の果物とは違って桃源郷の不老不死の仙果だとも考えられていました。
桃の花、葉、種の効能
長生果と呼ばれた桃の木にはどのような働きがあるのでしょうか。
桃奴(トウド)
木の上で乾燥し、冬になっても落ちない桃でお正月に採取されます。味は苦く「微温性」で妊婦出血、寝汗、遺精に用います。
桃仁(トウニン)
桃を食べると中に大きな種がでてきます。その種を割ると中からアーモンド状の「桃仁(トウニン)」がでてきます。桃仁は薬として使われ破瘀(はお)の作用があります。破瘀とは血の滞りによって、よどんだコリの部分を破り新しい血が生まれてくるのを助けます。

桃の種
桃花(トウカ)
花を旧暦の三月三日に摘み、絹の袋にいれ日陰で乾燥させてから使います。顔色をよくし、浮腫み、便秘を解消します。

桃の花
桃葉(トウヨウ)
若葉の方が効果は強く鎮静作用があり頭痛や神経痛に使われ、外用するとあせも、肌あれを解消します。