4.通す

春菊/菊菜(シュンギク・キクナ)

薬膳効果
情緒安定、美肌

イライラ・不眠を整える香り野菜【美肌にも効く食べ方】

春菊の原産は地中海沿岸。ヨーロッパやアメリカでは、もともと観賞用の植物として扱われていました。それが中国に伝わると食用として改良され、唐代の医書「千金方」にも記載され、古くから身体と心を整える野菜として親しまれてきました。

日本では、和え物や鍋料理の青味として欠かせない存在。独特の香りが料理に奥行きを与えると同時に、その香りは春特有のイライラや不眠をやわらげる力が秘められています。

春菊の薬膳効果|イライラ・不眠・自律神経に

薬膳において春菊は、肝と肺に働きかける食材。春は「肝」が乱れやすい季節のため、その影響で、次のような不調が起こりやすくなります。
イライラしやすい、気分の浮き沈み、眠りが浅い(不眠)、めまい、春菊は肝の機能を調整し、これらをやさしく鎮めながら気の巡りを整えます。

さらに特徴的なのが香り。春菊に含まれる香り成分には、自律神経を整える作用があります。
・ 気持ちを落ち着かせる
・ 緊張をゆるめる
・ ストレスによる不調を軽減
まさに“食べるアロマのような存在です。

春菊は美肌にも効く|βカロテンと油の関係

春菊は、ほうれん草よりもβカロテンが豊富な緑黄色野菜です。βカロテンは体内でビタミンAに変わり、肌の潤いを保つ、粘膜を守る、老化を防ぐといった美容効果が期待できます。
ただし、βカロテンは脂溶性。油と一緒に摂ることで吸収率がぐっと高まります。

そのため、すき焼きのような料理に春菊を使うのは理にかなっています。
✔ 肉の脂で栄養吸収アップ
✔ 香りで肉の臭みを消す
✔ 美肌効果を高める
まさに、昔ながらの知恵が詰まった組み合わせです。

中医営養学

キク科キク属
辛甘/平
性味
肝、肺
帰経
温脾養胃、清肝明目、化痰理気、安神
効能
イライラ、眩暈、梅核気、情緒不安
適応

東方栄養新書

甘辛/平、心肝肺
清血養心:浄血作用あり、心の機能回復
潤肺消痰:肺を潤し、肺機能を回復させ痰と消す

薬膳レシピ「春菊」

ちゃんと眠るために春菊を食べる

夜になると、理由もなく目が冴える日がある。疲れているはずなのに、頭の中だけが静かに騒がしくて、布団の上で自分だけ取り残されたみたいになる。
スマホを見れば余計に眠れなくなると分かっているのに、指は勝手にスクロールを続けて、どうでもいい誰かの生活を眺めている。羨ましいわけでも、憧れているわけでもない。ただ、自分の輪郭がぼやけていくのを、どこかで望んでいるみたいに。

そういう夜に、春菊の匂いを思い出す。
鍋の湯気の中で、ふわっと立ち上がるあの青い香り。少し苦くて、でも妙に安心する匂い。子どもの頃は嫌いだったのに、大人になるとこういうものに救われる。たぶん、身体はちゃんと知っている。
自分が少しだけ無理をしていることも、ほんの少しだけ整えればいいことも。

だから今日は、ちゃんと眠るために、春菊を食べる。

春菊の薬膳レシピ(不眠・ストレス軽減)

薬膳ポイント
「気をゆるめて、眠る準備をする」組み合わせ

春菊:肝を整え、イライラ・不眠を鎮める
卵:心精神を安定させる
ごま油:βカロテンの吸収アップ

<材料(1〜2人分)>
春菊:1束
卵:2個
ごま油:小さじ2
塩:少々
醤油:小さじ1
にんにく(お好み):少量

<作り方>
春菊は4〜5cmにざく切り
フライパンにごま油とにんにくを入れて弱火で香りを出す
春菊をさっと炒める(炒めすぎない)
溶き卵を流し入れ、ふんわり混ぜる
塩・醤油で味を整える

春菊と柑橘のリラックスサラダ

薬膳ポイント
「香り+巡り+ゆるみ」で、眠れる状態へ導く組み合わせ

春菊:肝を整え、イライラ・不眠を鎮める
柑橘:気の巡りをよくしストレスを流す
はちみつ:心を落ち着かせる
オリーブオイル:潤いを補い、リラックス効果を高める

<材料(1〜2人分)>
春菊:1/2束(やわらかい葉中心)
みかん or オレンジ:1個
ナッツ(くるみ・アーモンドなど):適量
【ドレッシング】
オリーブオイル:大さじ1
レモン汁:小さじ1〜2
はちみつ:小さじ1
塩:ひとつまみ

<作り方>
春菊は洗って水気を切り、やさしくちぎる
柑橘は皮をむいて食べやすく分ける
ナッツは軽く砕く
ドレッシングを混ぜる
食べる直前にすべてをさっと和える

ちゃんとしなきゃ、と思う夜ほど、身体はこわばります。そんなときは無理に整えようとしないで、ただ春菊の香りを吸い込むみたいに食べてください。