にぎり墨体験|墨の香りの効果を探る

世界でたったひとつの「にぎり墨」

墨を磨るときに漂う香りは典雅を好む人に愛され、昔は天然の白檀(びゃくだん)、龍脳(りゅうのう)、麝香(じゃこう)などを墨に使用していました。奈良では伝統的な墨作りが今でも手作業でおこなわれています。

墨の香りを自分の感覚で確かめくて、生墨を手で握って仕上げる「にぎり墨」体験をしてきました。



奈良の墨工房「錦光園(きんこうえん)」

錦光園さんは奈良で小さな墨屋のひとつ。古都奈良に伝わる墨の文化、墨の魅力を伝え続けている墨工房さんです。JR奈良駅からゆっくり歩き5分ほどで到着しました。

墨工房「錦光園」

墨の香りは「書道インセンス」

現代では「墨を磨って文字を書く」という文化はめっきり減り、それどころかパソコンで入力しカーボンインクで印刷されたものを手に取る日常です。
そんな時に書家の方とお会いする機会があり、墨の香りに興味をもちました。

書道インセンス
墨を磨るとただよう香り
優雅でいながら突き抜けてくる
その香りは
漆黒の夜空に冴えわたる月光のよう
墨に使う天然の香り

墨の香りは開竅薬

墨の原料は三つ。
・煤(すす)
・膠(にかわ)
・香
煤と膠を練り込む時に、膠の強い匂いを緩和するために樟脳や龍脳で調えて、さらに独自配合の香料をわずかに加えるため墨工房によって香りが異なるそうです。

樟脳と龍脳の働き

樟脳や龍脳と言えば漢方では「開竅薬(かいきょうやく)」に分類され意識を覚醒するときに使用します。
樟脳はクスノキ科でクスノキの材、枝、葉などを蒸留精製したもので辛熱に働き、龍脳はフタバキ科の樹脂を加工して結晶化させたもので辛散に働き、いづれも強い芳香をもつ香薬です。

また開竅の竅とは、竅=穴(あな)のことで人は九つの穴をもっています。竅は五臓と連動し目は肝、舌は心、口唇は脾、鼻は肺、耳と二陰は腎へとつながり、開竅薬をもちいると内側にこもった邪を外に出す働きをしてくれます。

墨に用いる香は、膠の強い匂いを緩和するだけでなく、邪を受けた精神を浄化させ、覚醒させ芸術をうむ構えに整える。
そして墨を磨る時間は静かな心の高ぶりをもたらす道なのかもしれない。と感じました。

「にぎり墨体験」の様子は動画でご覧ください。

にぎり墨の体験はインターネットで予約できます。
錦光園WEB:https://kinkoen.jp/





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