乱れた精神を調えて心身不安を解消
安心をしたい。心が乱れた時は気持ちを安らかにしたいものです。
薬膳では乱れた心を整えるときは「安神法(あんしんほう)」をもちいて心を安らかに整えます。
安神法とは薬膳や漢方の基礎となる中医学の心神不安や心悸不眠を治療する方法ですが、近年のライフスタイルの変化によるメンタル不調に用いられる場合も多くみられます。
安心ではなく安神?
心を安らかにするのだから安心法ではないのかな。と思われた方もいらっしゃるでしょう。
薬膳では「心」ではなく精神の「神」の文字を使い、安神法と表現します。理由は「心」には二つの意味があるからです。
ひとつめは目に見える解剖学的な心臓、ふたつめは目に見えない抽象的な人間の「精神」の活動を示します。この精神活動の部分を「神」と表現するため、精神の乱れ=神の乱れと考えるため、神を安らかにする「安神法」が必要となります。
これらを薬膳では「心臓神(心は神を蔵する・心は神を受けもつ)」という言葉で表現します。
神(しん)とは
精神活動の「神」について、もう少し具体的な表現をすると、広義の意味は外に現れる様々な現象。狭義の意味は精神であるココロを指します。
広義 | 顔色、表情、目の輝き、言葉のやり取り、手足の動きなど |
狭義 | 精神、意識、思考、記憶、睡眠など |
神(しん)の現象
精神活動である神は人間の意識や行動に大きな影響をもちます。
例えば心が神を正常にうけもつ場合は精神も行動も良好ですが、心が正常に神を受けもつことができない時、問題が生じた時に不安、不眠、健忘がなどがおこります。
正常 | ・意識がはっきりしている ・精神状態が良好 ・思考が良好 ・刺激に正しく反応する |
問題 |
・意識がスッキリしない
・睡眠が不安定(不眠、夢が多い) ・忘れっぽい ・気持ちが落ち着かない
・反応が鈍い
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安神法について
神に乱れが生じた場合は薬膳では食の面から神を整えて不安、不眠、健忘を解消します。
これらを安神法と呼びます。
・益気(気を補う)
・養血(血を養う)
・滋陰(陰を滋養する)
・疏肝(気の促進)
・清熱(熱をさます)
・健脾(脾胃虚弱の改善)
まずは情緒が不安定になる原因を解決していくことがベストですが、セルフケアとして食事を見直してみるのもおススメです。
それぞれの方法については、今後、連載の予定です。