4.通す

薬芹菜(セロリ)

薬膳効果
情緒安定、解毒

セロリは肝の熱をさまし情緒安定に導く

セロリは、地中海沿岸で古くから薬用、香料、調味料として重宝されてきました。独特の香りは、食欲を刺激し、料理のアクセントとして活躍するだけでなく、ストレス緩和にも効果があるといわれています。
薬膳では、セロリは「肝」の働きを助け、イライラや不安を鎮める食材。セロリは、香味野菜としてはもちろんですが、心と体を整える野菜でもあります。

セロリの効能「香りでストレス症状を緩和する」

セロリをはじめとした香味野菜たちは「気の流れ」を整えることが得意です。ストレスが続くと気の流れが滞り体内に熱が生じます。熱は上に昇りやすい性質があるので、頭目にのぼるとめまい、頭痛、イライラがあらわれます。
この症状を上手に収めてくれるのがセロリの熱をおさめて肝気をととのえる働きです。セロリの独特な香りは葉の部分に多く含まれるので余すところなく料理に使ってください。

セロリの効能「春のトラブルを予防する」

春が旬のセロリは、「春の薬膳」に適した食材です。春になると陽気が増し、体の上部に気が上がって熱を帯びやすくなります。これにより、目の充血やめまい、情緒不安定といった春特有の不調が現れやすくなります。

こうしたトラブルの予防に役立つのがセロリです。セロリは「涼性」の食材で、体の熱を冷まし、上昇した気を落ち着かせる働きがあります。そのため、薬膳では春の食材として重宝されます。また、めまい、高血圧、熱っぽさのある「熱証」の方にもおすすめです。

ただし、妊娠中の方や冷え性で胃腸が弱い方は注意が必要です。その場合は、生姜など体を温める食材と一緒に加熱して食べると安心です。

中医営養学

セリ科オランダミツバ属
甘辛微苦/涼
性味
肝、肺、胃
帰経
平肝清熱、袪風利湿
効能
めまい、目赤、ストレス
適応

中医飲食営養学

早芹(かんきん):甘苦/涼 入肝経 平肝清熱、利湿治淋。応用:高血圧

食エッセイ「セロリ」

更年期の心と体に寄り添うセロリの風味

更年期、それは女性にとって心と体が大きく変わる時期。ホルモンの乱れ、体温の不安定、そして情緒の波がやり場のない力を持って揺さぶります。それにどう向き合うべきか、悩む日々が続く。

そんな時に、ふと薬膳の知恵を思い出す。セロリのもつ、涼やかな性質は、体の熱を冷まし、イライラや動悸といった更年期特有の症状を和らげる働きがあるらしい。その特性を知ると、今こそ必要な食材だと感じる。
イライラ感に支配されがちな心を、セロリの風味がそっと鎮めてくれる。ストレスで凝り固まった精神と肉体に、涼しさが広がる感覚を味わえる。

更年期という心身の転換期に、セロリという食材を思い切り味方につけてみるのも、よいかもしれない。

セロリと豆腐の簡単スープのレシピ

セロリの爽やかな香りと豆腐のまろやかさが絶妙に調和したスープ。豆腐の潤す働きと、セロリの情緒安定の働きで、更年期の心身に穏やかさをもたらします。

【材料(2人分)】
セロリ:1本
絹ごし豆腐:1/2丁(約150g)
にんにく:1片
生姜:1片
鶏がらスープの素:小さじ1(または顆粒だし)
塩:少々
胡椒:少々
ごま油:小さじ1
水:500ml
青ねぎ(お好みで):少々

【作り方】
セロリは斜め薄切りにし、豆腐は一口大に切る。
にんにくと生姜はみじん切りにする。
鍋にごま油を熱し、にんにくと生姜を香りが立つまで炒める。
セロリを加え、軽く炒めた後、水を加えて中火で煮立たせる。
鶏がらスープの素を加え、塩と胡椒で味を整え、スープが煮立ったら、豆腐を加えて温まるまで煮る。
最後にお好みで青ねぎを散らして完成です。