薬膳効果
疲労回復、体力増強

ブリは体力増強や肌の潤いを高める魚

鰤(ブリ)は温暖な海域から冷たい海域まで幅広い海域に分布します。肉食性で小魚や甲殻類、頭足類などを捕食し体長は通常1メートル以上に達することがあり大型のものでは2メートル以上に成長する大きな魚です。

薬膳の効能は、力強く気を補い、栄養豊富な血を生み出し、肌の潤いに必要な陰液も増やすので体力増強や美容効果が高い魚です。

ブリの力量は血を動かし熱を生む

江戸時代に著された本草書『本草食鑑(ほんちょうしょっかん)』には、その体長の大きさや異なる水深や水温でもたくましく成熟する様態から、多食すると血を動かし、熱を生じ、痰を湧かし、瘡を発し、嘔吐する。と記されています。

すなわち適量であれば、血を動かし熱を生じて活動的にしてくれます。また消化の要である脾胃を丈夫にする「健脾」の働きがあるので、消化機能をサポートしながら気血を補い、疲労回復、虚弱な身体にも体力や筋力をつけてくれるでしょう。

ブリで眼精疲労や知能低下を予防しよう

スマホやPCをよく使う人は日ごろから気にかけて血を補う必要があります。それは目を使うことは血を消耗しながら行う作業で、使いすぎると血を大量消費し栄養を届ける力が不足し目の衰えに繋がります。気血を強化するブリは眼精疲労の回復を助けてくれる魚です。

さらにブリには不飽和脂肪酸が含まれています。特にEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といったオメガ-3脂肪酸が豊富です。これらの脂肪酸は脳機能にもとても良い影響を与えます。

中医営養学

アジ科ブリ属
甘酸/温
性味
肝、腎、脾
帰経
補気血、滋陰健脾、通乳
効能
気血不足、疲労、体力不足、眼精疲労、知能低下
適応

本草食鑑

甘酸、補虚(滋陰、気血)
多食すると血を動かし、熱を生じ、痰を湧かし、瘡を発し、嘔吐する

食エッセイ「ぶり」

海をサバイブするタフなアドレスホッパー

アドレスホッパーとは定住する家(アドレス)を持たずに転々(ホッピング)と移動しながら生活する生き方。次々と異なる環境で生活するため、どうやら決断力や適応力が向上するらしい。

異なる生態系で大きくなるブリは出世魚と呼ばれるが、常に環境に適応しながら成熟する海のアドレスホッパーと私は呼んでいる。
そもそも回遊する魚類は定住しないのかもしれないけれど、出世魚のブリは疲労回復、体力増強を助けるので環境に負けてしまいそうな時はブリの生き方を考えつつ食べると、明日の活力を手に入れることができるかもしれない。

異なる生態系で大きくなるブリ

ブリ属の代表魚で全長1メートルに達するものを「ブリ」と呼びます。小さくになるにつれて「わらさ」「めじろ」「いなだ」「はまち」「わかし」「つばす」と名称が変わります。

ブリの出世魚という表現

「ブリは出世魚」と言われるのはブリの生態や成長に関連しています。ブリは成長に伴い海域を移動し異なる環境で生活することから、この言葉が使われるようになりました。

海域の移動

ブリは若い段階では沿岸域で生息し、成長するにつれて深海に向かって移動します。これにより、異なる水深や水温、食物の供給源が変わります。

成熟と繁殖

ブリは成熟すると、繁殖のために遡上行動を起こします。一部のブリは河川に入り、淡水域で産卵を行います。これによって、生態系全体で新しい個体が生まれます。

異なる海域での異なる環境に適応し、成熟に伴って異なる地域で役割を果たすので「出世魚」とされています。