腎の精気を蓄え体を温める「羊肉・ラム肉」
羊は新石器時代にメソポタミア地方で狩猟動物に変わる食糧源として家畜化され、山羊とともに最古の家畜と言われています。中国の宮廷料理では羊肉しか使われなかったほど羊肉は好まれました。
羊肉は若い肉ほど臭みが少なく身がやわらかいのが特徴で、生後1年未満の仔羊肉は「ラム」、それ以上の成羊肉は「マトン」と呼び、やや牧草くさい特有の臭いがあります。
薬膳の効能は生殖の要である腎を温め、気を補い、冷えで生じる腰痛、膝痛、頻尿、インポテンツを回復させる食肉です。
火の性質をもつ羊は冷え性に効く
羊肉は北海道のジンギスカンが有名ですが、この名前はモンゴル帝国初代帝王のチンギス・ハーンが由来しているといわれています。モンゴルは1年間の気温差と乾燥が激しく冬はマイナス30℃以下になることもあります。モンゴル人にとって羊肉は厳しい寒さを乗り切るためのパワー食です。
また羊は湿気を嫌い乾燥した環境を好むので「火」の性質をもつ動物と言われています。そのため冷え性を治すのに適した食肉で小腹部や下半身をよくを温めて機能を回復させます。ただし妊婦は胎児のために火の性質がある羊肉は控えめにした方がよいでしょう。
下半身の衰えを予防する補腎の効果
腎気は活力の源で腎気が弱ると生殖、髪、骨などが衰えると言われます。羊肉には「補腎」の働きがあるので、インポテンツの回復、産後の体力低下、腰膝の弱りを感じる人は羊肉を選ぶと良いでしょう。