6.補う

枝豆(エダマメ)

薬膳効果
疲労回復、利尿

枝豆と大豆・薬膳効能の違い

枝豆と大豆は同じ植物に由来していますが、成長段階と用途が異なるため名前や特徴が変わります。

枝豆は大豆が未熟な状態で緑色の若いさやの中にある段階で収穫されたものです。豆が柔らかく甘みと風味が豊かで、特に夏に塩茹でして食べるのが一般的です。大豆は枝豆が成熟し、完全に乾燥した状態で収穫されると「大豆」となります。豆の色は黄色や茶色になり硬く、貯蔵や加工が可能です。

未成熟と成熟では効能に変化あり

薬膳では未成熟、つまり若いうちに収穫するものは、一般的に効き目が早く、成熟したものは、ゆっくり蓄積するように効いていく傾向があります。

枝豆は夏~初秋の暑さと湿気が多い季節。暑さによる夏バテを防ぐために気血を補い、また体にたまる余分な湿を排出する働きでむくみを解消します。
枝豆は野菜として扱われる事が多く、さやごと茹でて塩で味付けし、さやから豆を取り出して食べるのが一般的で短時間の調理で手軽に食べられるので、暑さ厳しい季節に負けないように、しっかり栄養補給したい食材です。

大豆の旬は晩秋ですが、大豆製品として加工されるため一年を通して手に入りやすいです。大豆は虚弱を改善するのにむいてため、毎日少しづつ食べるとよいでしょう。

中医営養学

未成熟な大豆
甘/平
性味
脾、胃、腎
帰経
健脾益気、補血、利湿、補腎
効能
疲労、むくみ、酒酔い
適応

食エッセイ「枝豆」

豆名月の夜

豆名月の夜、庭に出て月を見上げると少し冷たくなった風が頬を撫でていく。
満月のようにまんまるではないけれど、どこか静かな気品を感じさせる十三夜の月が秋の空に浮かんでいる。
十五夜の華やかさに比べると、控えめで、どこか愛おしい。それが、豆名月の持つ魅力。

「豆名月」は、日本の伝統的な行事のひとつ。旧暦の9月13日頃に行われ十三夜の名月としても知られています。
この風習は少しずつ忘れられているかもしれない。それでも、この静かで優雅な夜を迎えると、ふと心が落ち着き、自然と感謝の気持ちが湧いてくる。

十三夜の月は「豆名月」「栗名月」として豆や栗を供える。十五夜は「芋名月」として芋を供える。芋も豆も栗も土から生まれ収穫される。

大地からの恵みを月に捧げるという行為は、自然と共に生きるという本来の姿を思い起こさせる。そして人は、それをただ「食べる」だけでなく「鑑賞する」

秋の夜風の冷たくなりゆくころ、月の光はなおさら冴え、心は澄みて、ひたすらに。この時を楽しみながら、ぷっくり艶々した枝豆を。