5.潤す

銀杏/白果(ギンナン)

分類
イチョウ科イチョウ属

銀杏は古来より咳止め、夜尿に悩むときに生薬または民間薬として使われてきました。特に肺の働きをよくして呼吸機能をととのえます。
晩秋に近づくと独特の臭いのある硬い殻に包まれた実が熟し食用に適した状態になります。銀杏は炒っても、煮て食べてもよいですが生食は禁忌です。また大量に食べると稀に中毒をおこす場合があるので注意が必要です。

生薬名は銀杏(ギンキョウ)

ギンキョウは収渋薬(しゅうじゅうやく)に分類され、咳止め、呼吸困難などの呼吸器系のトラブルに効果を発揮します。咳止めの効果を高めるには杏仁(あんにん)や百合根(ゆりね)と一緒に使います。
トイレに行く回数が多い、帯下(おりもの)が多いなどの、下のトラブルには蓮の実と一緒に使うと「止帯除濁」の効果が高まるので、ぜひ薬膳にも応用してください。

【収渋薬とは】
止咳、縮尿、固製精、止寫など、散じるもの、漏らすものを渋みの効果で渋らせて収めます。ただし感冒、下痢の初期に使うと邪を中にとどめて病を長引かせてしまうこともあるので注意が必要。

中医営養学

期待される効果
甘苦渋/平
性味
帰経
斂肺止咳、潤肺
効能
から咳、喘息、頻尿、夢精
適応

本草綱目

甘苦/平 温肺益気、縮小便、止白濁

イチョウは生きた化石!?

イチョウは約2~3億年前頃には繁栄しアジアだけでなく北米や欧州で見つかった化石から恐竜が栄えた時期に存在したいたことが判明しています。
皮がついたままでは発芽しないイチョウは、恐竜に皮を食べられ糞と一緒に種だけが残ることで繁栄してきました。

その後、地球の変化で絶滅の危機にさらされながらも中国大陸で生き続け、やがて薬や食としての価値を見出され中国全土に広まりました。
その生命力の強さから子孫繫栄を願う象徴ともされ、中国では子孫繁栄を願って結婚式の料理で食べられることもあります。

イチョウ

現代の街路樹のイチョウ並木は、近代になって植えられたものが多く、排気ガスなどの大気汚染に強い落葉樹として知られています。
またイチョウには油分が多く含まれているため、落ち葉の上を歩く時は滑らないように気をつけましょう。