2.冷ます

緑茶(リョクチャ)

茶は古くから薬として使われた

お茶の歴史はとても古く、医薬の始祖または農業の神と言われた「神農」の時代までさかのぼります。神農は身近な草木の薬効を調べるために自らの体を使って草根木皮を嘗め、何度も毒にあたりましたが、お茶の力で解毒をしたという逸話が残されています。

神農の名を冠した中国最古の薬学書『神農本草経』には「神農嘗百草、日遇七十二毒、得荼而解之(神農は100種類の草を食べ72種の毒にあたったが茶葉で解毒した)」などの記述が残され、茶葉には解毒作用があることが知られていました。

また、お茶は「苦菜」と言われ、春秋時代には祭礼に使用し、生の葉は料理に使われていたこともありました。

緑茶を飲むとどんな効果がある?

明代に入ると、医薬学者の李時珍の著作『本草綱目』には「お茶は苦味と甘味、性質は寒、痰と熱を除き、興奮した気を降ろし、食滞を解消し、頭痛を止め、利尿させる。」と記載されました。
お茶は体内の熱と毒を取り去る「清熱解毒」や「除煩止渇」などの熱病を解消する薬草であったことが解ります。

中医営養学

ツバキ科のチャノキ
苦甘/涼
性味
心、肺、胃
帰経
清熱解毒、除煩止渇、安神、消臭
効能
頭痛、煩熱、口の渇き、精神不安、眠気
適応

東方営養新書

苦甘渋/寒 心肺腎。
清利頭目、除煩熱、化痰消食、利尿解毒
抗菌、免疫向上、造血促進、降圧、老化予防、利尿

抹茶:苦甘/寒、抗酸化、抗老化、抗菌

中国茶の分類と製法

茶葉の発酵で寒熱の性質は変化する

お茶はツバキ科の常用樹「カメリア・シネンシス(camellia sinensis)」の葉から作られます。その茶樹が育つ地理、環境により茶葉の香りが異なり、さらに製法によって性質も異なるため、体質に対する相性も異なるので薬膳茶をつくる時は茶葉の性質を考えてあわせると良いでしょう。

中国では六大茶として以下のように6種類に分類され、発酵がすすむほど身体を温める作用が高まります。

緑茶「不発酵」

緑茶(銘柄:西湖龍井、宇治茶)
茶葉が自家酵素によって酸化される前に火入れや蒸すなどの加熱処理をし発酵を止める「不発酵」のお茶。茶葉の成分がより抽出し易いように揉み、茶葉を長くねじったり、丸い粒状などに成型し乾燥させます。

白茶「軽発酵」

白茶(銘柄:白毫銀針、白牡丹)
白銀の産毛の残る新芽の茶葉を自然乾燥させてから、火入れをして発酵を早めにとめる「軽発酵」のお茶。花のような香りと甘みが特徴です。

青茶「半発酵」

青茶(銘柄:凍頂烏龍茶、鉄観音)
ある程度発酵を促進させてから火入れをして発酵をとめる「半発酵」のお茶。発酵部分の褐色と不発酵部分の緑色が混じり青っぽく見え爽やかな香りです。

黄茶「半発酵」

黄茶(銘柄:君山銀針)
乾燥させた茶葉を高温多湿な場所で発酵させる「半発酵」のお茶。

黒茶「後発酵」

黒茶(銘柄:普耳茶)
完成した茶葉に微生物を植え付け発酵させる「後発酵」のお茶。長期保存ができる特徴があります。

紅茶「全発酵」

紅茶(銘柄:祁門紅茶)
茶葉を完全発酵させた「全発酵」のお茶。完全に酸化させてから加熱乾燥させます。祁門紅茶とはイギリスの紅茶文化を受け、中国で独自に発展した紅茶です。

*写真はイメージです