2.冷ます

白菜・大白菜(ハクサイ)

薬膳効能
むくみ改善、胃腸ケア

消化を促進し老廃物を除く、養生三宝の食材

白菜はアジアを代表する野菜のひとつで約6世紀には既に中国で栽培されており、唐代(618-907年)には薬用植物として知られていました。その後、広く普及し現在では、韓国や日本、東南アジア各国でも愛される食材です。

中国では、白菜、豆腐、大根の三つを「養生三宝」とよび、体を滋養し免疫を高めて健康を養うため、精進料理で重宝される食材のひとつです。

小白菜と大白菜

中国ではハクサイは「小白菜」を指すことが多いですが、日本では「大白菜」「黄芽白菜」をさします。大白菜は、小白菜とカブを交配させた15世紀頃の新種と考えられています。
今日の薬膳書では、小白菜、大白菜と区別はしておらず、性質も平性の説と、涼性の説の二つがあるようです。

消化を助け便通をよくし利尿に働く

白菜は、胃、大腸、膀胱に作用するため、消化を助け便通をよくし利尿に働きます。特に胃腸の熱を取り去るので、便秘によって出来るにきびにも効果があります。

食べすぎ、飲みすぎで体に熱がこもる時には、白菜で消化を促進し胃腸を整えましょう。しかし、胃腸が弱い、冷え症、軟便傾向のある人は生姜などの温性の食材と一緒に食べるとよいでしょう。

清熱の働き、風邪予防から精神安定まで

熱っぽい、発熱したときの喉の痛みには白菜の清熱効果が働いて粘膜の炎症を鎮めます。白ネギと生姜の発散力をあわせて使うと風邪の引きはじめにはよいです。
さらに「健脾除煩」の効能は、興奮状態を抑え、落ち着かないときの煩躁を鎮めます。イライラする時も熱冷まし的な感じで食べるのも良いです。

大白菜/ハクサイ

期待される効果
甘/平
性味
胃、大腸、膀胱
帰経
清熱止渇、通利腸胃、健脾除煩
効能
胃熱、胃痛、発熱、便秘、小便不利
適応

小白菜(パクチョイ)

アブラナ科アブラナ属
甘/平
性味
帰経
解熱除煩、通利胃腸、利水
効能
のどの渇き、イライラ、便秘
適応

東方栄養新書

甘/涼または平 脾肺胃 消食下気、清血除煩、通便、解酒毒

食エッセイ「白菜」

アレンジ無限大「サラダ、鍋、発酵白菜」

白菜の食べ方は多岐にわたります。新鮮なままサラダとして食べることもあれば、鍋料理や炒め物、スープの具材としても活用されます。その淡白な味わいと柔らかい食感は、他の食材とよく調和し様々な料理にマッチします。炒め物にすれば、シャキシャキとした食感が楽しめ、肉や他の野菜との相性も抜群です。また、スープに加えれば、白菜の自然な甘さがスープ全体に広がります。

そして、鍋料理では白菜は欠かせない存在で、特に寒い季節には、白菜の甘みと柔らかさが引き立つ鍋料理が恋しくなります。

発酵白菜「韓国キムチ」

発酵白菜は、白菜を主材料とした発酵食品で一般的には乳酸菌による発酵プロセスを経て作られます。韓国のキムチや中国の酸菜、日本の漬物など、地域によってさまざまなバリエーションがあります。

発酵白菜の代表的なものは、韓国のキムチが挙げられます。キムチは、唐辛子、ニンニク、魚醤などを使って白菜を漬け込み、数日から数週間発酵させたもので、その辛味と酸味が特徴です。
白菜の老廃物を排出する働きに、唐辛子、ニンニクなどの辛味の作用がプラスされると、気血のめぐりが良くなり新陳代謝が促進されます。

発酵白菜「日本の漬物」

白菜の漬物も発酵白菜のひとつで、辛味や酸味が少なく、比較的マイルドな味わいです。塩をふって短時間で発酵させる即席漬けから、数週間かけて作る本格的な漬物までさまざまあり、昆布、鷹の爪、柚子などを加えて風味をつけます。

発酵白菜のつくり方

発酵白菜は、発酵させることで新たな風味と栄養価を楽しむこともできます。保存性も優れているため、日々の食事に取り入れることで、食生活を豊かにしてくれます。発酵白菜の風味や効能を楽しみながら、その歴史と文化にも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

材料の目安
白菜:1/2個・塩:10g

白菜を刻んで、塩がまんべんなく行き渡るように両手で混ぜながら軽くもみ込みます。白菜をギュッとしぼって水分をしっかり出し、厚手の袋に入れ、袋の空気を抜いて口を結びます。
3~5日常温におくと、乳酸菌の力で発酵が始まり熟成され、食べると少し酸っぱく感じたら発酵してきた目安です。