2.冷ます

葛根/葛(カッコン・クズ)

薬膳効能
解熱、強ばりを解く

葛根、葛粉の効能と使い方

多年生半木本性マメ科植物のクズは、万葉集にも読まれ、絵、家紋として古くから日本人に身近な野草として親しまれ、日常生活にも利用されてきました。

葛根(かっこん)とは、葛の根の事で「葛根湯(かっこんとう)」の主成分で薬用として用いられます。その葛の根から奈良県吉野町の商人が、でんぷん質をとり、それを里で売ったことから「くず粉」と呼ばれた由縁があります。
現代では、薬用よりも調理用、製菓用として用いられることが多く、特に奈良県吉野町産の葛粉は吉野葛と呼ばれています。

葛根湯の主成分「葛根の効能」

カゼのひき始めに効力を発揮する、漢方薬の葛根湯は、体を温め発汗を促すことでカゼを治療します。
その主成分である「葛根」は、解熱に働くとともに、甘潤の性質で筋脈を潤しながら項背部の(首の後ろ)こわばりをやわらげます。また体の免疫を高め、発疹などの病気がこじられるのを防ぐ作用もあります。

くず粉の薬膳レシピ「葛粉の効能」

葛粉(くず粉)は葛根からでんぷん粉を精製したものなので薬としての葛根の作用ほどは期待はできませんが伝書として実例レシピは残されています。

〇胸部の煩熱、心煩、喉の渇きの改善『聖恵方』
<葛粉粥>葛粉、粟米(もちあわ)半々で粥をつくる

〇小児の発熱、嘔吐、消化不良の改善『食医心鏡』
<葛湯>葛粉2に水を加えて混ぜ合わせ、とろみがつくまで加熱する。

中医営養学

マメ科クズ属
甘辛/涼
性味
脾、胃
帰経
発表解表、昇陽透疹、解熱生津
効能
発熱(表証)、頭痛、項背部のこわばり
適応

本草綱目

葛殻:甘/平 下痢、解酒毒。葛根:甘辛/平 生根汁大寒 主消渇身大熱嘔吐、解諸毒。
用粉:止渇、利大小便、解酒、去煩熱

葛とは

葛(クズ)ってどんな植物?

クズは蔓性の植物で、地面をはったり茎は巻き付いたりして長く伸びます。

ツルはひと夏で10mぐらい伸びる生命力の強い植物で、ツルは葛布(くずふ)に織って着物に、葉は家畜の飼料にと、古来より暮らしの中で使われてきました。

葉は三つの小葉から成り、クズは睡眠をする植物として知られています。

クズの葉は光の強弱によって開閉運動をします。曇天では開いて光を多く取り入れます。

葛根葉

葛のお昼寝

光の強い時は葉の表を中にして受光量を少なくします。この状態をクズの昼寝と呼び「裏見草(うらみぐさ)」という別名があります。

クズの花

クズの花

8月頃に赤紫色で甘い香りがする花を咲かせます。

葛根(カッコン)

掘り出した葛根に傷をつけ、白いデンプンがあるものだけが使われます。
葛の根を粉砕し布袋に入れ水中で何度ももみ出しながら丁寧にでんぷんを取り出します。

くず粉