5.潤す

牡蠣(カキ)

薬膳効果
虚弱の改善・精神安定

体を潤し、血を補い、精神安定に導く牡蠣の効能

牡蠣は栄養豊富で美味しいだけでなく、薬膳の観点からも優れた効果を持ちます。特に体を潤し、血を補い、精神を安定させる作用があるとされます。
牡蠣は「海のミルク」とも呼ばれ、栄養価が非常に高く、慢性疲労、心身の健康に役立つ食材です。

更年期のほてり・のぼせに。陰を補う牡蠣の「滋陰養血」

更年期のホットフラッシュ、のぼせ、乾燥による不調。そんな時に頼れる食材が「牡蠣」です。牡蠣は薬膳において体を滋養し潤いを与える食材です。
更年期になると「陰」が不足しやすくなり、ほてりやのぼせ、不眠、イライラなどの症状が現れやすくなりますが、牡蠣を取り入れることでカラダの内側から潤いを補い、落ち着きを取り戻すことができます。陰を補い、体を潤すには牡蠣はトップクラスの滋陰食材です。

ストレスで心がザワつく時に。牡蠣の「養心安神」で穏やかに

忙しさやストレスで気持ちが落ち着かない、眠れない、イライラする時にも良い食材が「牡蠣」です。
牡蠣は、心を養い、心を安らかにする「養心安神(ようしんあんじん)」の働きがあります。牡蠣を食べることで、精神を安定させ、不眠を解消する効果が期待できると薬膳、漢方では定義づけています。
さらに、牡蠣は陰を補い、体を潤す性質も持つため、ストレスによるほてりやのぼせ、寝つきの悪さが気になる方にもおすすめです。
心がザワつくときや眠れない時は、牡蠣を取り入れた食事で体と心のバランスを整えて、穏やかな日々を目指しましょう。

中医営養学

イタボガキ科
甘鹹/平
性味
肝、脾、腎
帰経
滋陰養血、養心安神、補虚調中
効能
陰虚証、血虚証、精神不安、不眠、寝汗
適応

東方栄養新書

身肉:甘/温 肝胆腎、美顔、美肌、補虚調気血。胃、十二指腸潰瘍の回復。過汗症の回復。免疫向上。
殻:鹹/涼 肝胆腎、重鎮安神、潜陽滋陰、軟固散結

食エッセイ「牡蠣」

海と大地のミルクにすがる夜

最近、寝つきが悪い。布団に入って目を閉じても、頭の中で終わったはずの会話がリピートしている。返したかった言葉や、いらなかった一言がぐるぐる回って、いつの間にか夜が白み始める。
朝の鏡に映る自分の顔は、なんだか砂漠みたいに乾いていて、ファンデーションをのせてもすぐに崩れる。もしかして、これが「陰が不足してる」ってやつ?薬膳の本に書いてあったっけ。

「海のミルク」って言われる牡蠣は、陰を補い、ストレスを和らげ、心を落ち着かせるらしい。私にはぴったりかもしれない。

夕方、スーパーの鮮魚コーナーでぷっくりとした牡蠣が並んでいるのを見つけた。迷わずカゴに入れて、帰宅後すぐに火を入れた。今夜は牡蠣のミルク煮。口に入れるとトロリと濃厚で、海と大地を感じ心が落ち着いた。
「これが体を潤してくれるのか」と思いながら、もうひとつ口に運ぶ。じんわり温まっていく感じがして、なんだかほっとする。

牡蠣と牛乳のクリームシチュー


濃厚でクリーミーな牡蠣のミルクシチューは、心がザワザワする時の一品。牡蠣の滋陰と牛乳の気血を回復させる働きが溶けこみます。