薬膳効能
乾燥した体を潤す

熱を収めて、渇きを解消する果物

梨は弥生時代に伝来し多くの品種がうみだされました。中国や日本の梨はサクサクした触感が主流ですが、ねっとりした果肉の洋ナシも好まれます。

秋の乾燥、喉の渇き、咳の対策に

梨は秋の代表的な果物で身体に潤いを与えます。夏の暑さで奪われた陰液を補い、肺を潤す効能により、乾燥する秋に出やすい咳や痰の対策によく使われます。

梨と体質の相性

梨は「性涼多汁水果に属す(冷やす性質で水分が多い)」と言われるため、ほてりがちな人、血圧が高めの人に向いています。
しかし冷え性で腹痛をおこしやすい人、月経中の女性は控えたほうがよい果物です。

梨の効能をいかす食べ方

『本草通玄』には「生者は六腑の熱を清し、熟者は五臓の陰を滋す」と記されています。
これは、梨は生で食べると熱をおさめる清熱の効果が高く、煮ると身体の陰液を補う滋陰の効果が高くなるという意味です。

このような性質から、熱病なら生食で熱を冷まし、潤い不足なら煮た梨の方が潤い作用が強くなり胃腸にも優しいデザートになります。

中医営養学

バラ科ナシ属
甘微酸/涼
性味
肺、胃
帰経
清熱、生津潤肺、潤燥生肌
効能
口渇、声がれ、肌あれ、喉痛
適応

新華本草綱要

果:甘微酸/涼 有生津潤燥、清熱化痰的効能。用途:熱病、津傷煩乾、便秘
梨皮:甘渋/涼  有清心潤肺、降火生津的効能。用途 :暑熱煩渇、咳嗽、吐血
梨葉:主治小児疝気解菌等

梨の薬膳療法

慢性気管支炎
梨の芯をくり抜き、氷砂糖または蜂蜜を入れて蒸したものを五日間続けて食べる(汁も飲む)
から咳
梨と山の芋を軽く煮て食べる
口内炎
毎日少しずつ梨を食べる

*古典では梨とカニを一緒に食べると胃腸を傷つけ腹痛、下痢を引き起こすので禁忌としています。これは梨とカニの組み合わせが胃腸を冷やしこれらの症状をおこすと考えられています。胃腸の弱い人は注意しましょう。