2.冷ます

食塩、天然塩(シオ・ショクエン)

薬膳効能
清熱と解毒

薬膳の知恵で引き出す塩の力

塩は料理に欠かせない調味料でありながら、薬膳の世界でも重要な存在です。五味の中では「鹹(かん)」に属し、腎を補い、体内のバランスを整える役割があります。塩の薬膳的な効果は、適量を意識することでより引き出され、少しの工夫で、日々の食事がより健やかなものに変わります。

塩の種類と製造方法

塩は塩化ナトリウムを主な成分とし、海水を乾燥させたり岩塩の採掘によってつくられます。
『中薬大辞典』では海水や内陸部の塩井、塩池から汲み上げた塩水を煮詰めて作るものを「食塩」とし、岩塩から採掘するものを「大青塩」としています。いずれも効能は同じと考えて良いでしょう。

夏の水分補給には「淡塩糖水」

夏季の多汗や喉の渇きがある時は、水分を体内に効率よく吸収させる必要があるため、薬膳では淡塩糖水法をもちいます。

・塩3g
・砂糖40g
・水または炭酸水1L

食塩と砂糖を適量のお湯に飲む加えて飲むと効率よく吸収できます。

習慣性便秘には「淡塩水」

習慣性の便秘には毎朝の空腹時に淡塩水をコップ一杯程度を飲むと、塩の「寫下」の効能と胃腸への働きで便を出やすい状態にします。『食物療法』より

塩分をとる時の注意

塩は体の正常な機能を保つためには欠かせない調味料ですが、塩分を摂りすぎると口が乾いて普段より水を欲しくなります。水をよく飲むと体の余分な水分がうまく処理できず、体内の血液の容量が増えてしまい、血圧が上昇します。
そのため高血圧、むくみやすい人、妊婦、腎臓病がある時は、塩分を取りすぎると悪化することがあるので気をつけましょう。

中医営養学

海水や岩塩から作られる調味料
鹹/寒
性味
腎、胃、大腸、小腸
帰経
清火、涼血解毒、寫下
効能
腫れ物、止痒、便秘
適応

早わかり薬膳素材

鹹/寒 胃腎大腸小腸。清熱涼血、解毒嘔吐、引経
応用:皮膚化膿症、痒み、歯肉の出血、歯痛、視力低下
多食すると浮腫みやすく肝を痛める。肝陽亢盛で高血圧、水腫、血病、食積痰湿、のぼせのある高齢者には用いない

世界の塩

世界の塩の産地

塩は世界各地で生産され、その産地や製法、成分によってさまざまな種類と特徴があります。

塩の特徴
フランス ゲランドの塩(フルール・ド・セルが有名)
イタリア シチリアの海塩(粒が大きく旨味が濃い)
日本 能登塩、伯方の塩、粟国の塩など
ボリビア ウユニ塩湖の塩(ミネラルが豊富)
イスラエル・ヨルダン 死海の塩(デトックス効果が期待される)
アメリカ ユタ州のレッドモンド塩(鉄分が多く赤みを帯びる)

塩の種類と特徴

塩は種類ごとに風味や効果が異なるため、料理の仕上げや健康管理に合わせて選ぶのがおすすめです。

塩の種類 特徴とおすすめの使い方
フルール・ド・セル(フランス) 塩の花と呼ばれ、繊細な味わいが特徴。仕上げにひとつまみふりかけると素材の旨味が引き立ちます。
岩塩(ヒマラヤ、ユタ州など) 鉄分を含み、ピンクや赤色の美しい結晶。焼き肉やグリル料理の仕上げに。
藻塩(日本) 海藻の成分が加わり、うまみと甘みがある。おにぎりや天ぷらにおすすめ。
黒塩(インド) 硫黄の香りが特徴的。カレーやアジアン料理に深みを加えます。