2.冷ます

苺(イチゴ)

薬膳効能
肝の高ぶりを鎮める

春のメンタル不調に効くイチゴ

いちごは甘酸っぱく涼性で熱をおさめる効能があります。イチゴの旬である春から初夏にかけて食べるのが薬膳ではおすすめです。
立春を越えると自然界の陽気が増し草木も成長する春の季節に入ります。呼応するように人体の陽気も盛んになり活動的になりますが、うまく調整ができないと肝の気が高ぶります。すると気も高ぶり、イライラする、落ち着きがない、頭痛がするなどの症状があらわれます。

高ぶりを鎮めて気を落ち着かせる

毎年、春になると精神的に落ち着かなくなる人は立春あたりから初夏にかけてマメに食べるとよいでしょう。
イチゴは肝の高ぶりを鎮め余分な熱を冷ます働きがあるので、イライラ、春先の頭痛、目の充血、気の高ぶりをおさめてくれます。

苺が美容によい理由「理血調経」

いちごは肝を養い気の高ぶりを鎮めると同時に血を調える「理血調経」の働きで血にも働きかけます。薬膳では「女は血をもって本となす」という言葉があり、すなわち女性の美しさや健康には「血」がとても重要です。

女性の美しさは血が大切

女性は月経、妊娠、授乳などで血を消耗しやすい体なので、更年期をむかえる女性にはいちごを食べてケアするとよいでしょう。ただしいちごの繊維は水をためやすいので、冷え性や胃腸が弱い人は体内の水分を処理する能力が低下するので控えめに。

中医営養学

バラ科オランダイチゴ属
甘酸/涼
性味
肝、脾、胃
帰経
健胃解暑、養肝、理血調経、消食
効能
暑気あたり
適応

食療本草

覆盆子(ふくぼんし):甜酸/平 主益気軽身、令人髪不白

覆盆子はゴショイチゴなどの木イチゴの未成熟果実につけた名称で、覆盆子とはお盆を伏せたような実という意味です。

食エッセイ「いちご」

恋をクールにする華やかな赤姫

江戸時代に誕生した歌舞伎では、赤い着物を着た武家の姫君を「赤姫」という。純粋無垢でいながらも恋愛には盲目的で燃え盛る恋心に身を焦がしていたそうだ。赤く可憐な苺のビジュアルは赤姫を想起させる。

しかし薬膳的に見ると苺は高ぶりを鎮め余分な熱を冷ますので、燃え盛る恋心から平常心をとりもどすクールな果実。そんなギャップを思いながら苺と恋について考えてみました。

恋する瞬間は瞳煌めく

瞳を輝かせるには目も健やかな状態であるのが好ましい。では目に良いフルーツは?
一般的にパッと浮かぶのはブルーベリーかな?ベリー系の果実は血を調える「調血」の働きや、お肌の潤いや血のもとになる陰液を増やすので、もちろん瞳を輝かせる果実です。

瑞々しいベリー果実と一緒に食べるなら、幸せホルモンを放出するハイカカオチョコをあわせてフォンデュすると多幸福に包まれるかも。街で飲むなら苺ショコフラペチーノとかもイイ。

フルーツフォンデュ

胸苦しさを感じたら開放しよう

精神的に活動する気持ちになれずウツウツ気分が晴れない時は、気がスムースに巡っていない場合があります。胸、脇の横腹にはったような痛みがある時は気の巡りの悪さが表にあらわれたサイン。

そんな時は柑橘フルーツのもつ「解鬱」の働きを利用すると良いでしょう。精神的にウツウツした気分を爽やかに解いて開放へ。そしてストレッチや軽い運動を加えて体温と気分を上げる。

イチゴと柑橘フルーツ

バランスを調えるストロベリー酒

苺のクールな性質にお酒のホットな性質をあわせると寒熱のバランスが調整されます。

ストロベリー酒

【ストロベリー酒の作り方】
いちご300g、ホワイトリカー600ml、氷砂糖50g、お好みで皮むき輪切りレモンを加える。約2週間でイチゴの味と香りが漂う鮮やかな赤姫の果実酒が出来上がります。