ウドは高麗人参と同じウコギ科の植物
ウドは高麗人参と同じウコギ科に属する植物です。ウコギ科の植物は、強壮作用や免疫力向上に役立つものが多く、古くから薬膳や民間療法に取り入れられてきました。高麗人参が「滋養強壮の王様」として名高いのに対し、ウドは、体内の余分な熱と湿気を除く「デトックス野菜」として、香りや苦味を活かした料理に重宝されています。
東京名産「立川ウド」
ウドの原種は日本、朝鮮、中国に自生しますが、栽培は17世紀に日本で行われるようになった日本原産の野菜です。明治時代には日光を遮り加湿して栽培する方法が開発され、それが「軟白うど」「白うど」で、若葉、蕾、芽、茎の部分が食用になります。
うど栽培の発祥は京都付近と推定されますが、関東では立川が有名です。立川でうどの生産が本格的に生産が始まったのは昭和30年頃で、冬場の農閑期の貴重な収入源として栽培が盛んになりました。武蔵野で行われていた室(むろ)での栽培は、立川の地質(崩れにくい関東ローム層や温度、湿度保持)が適していたため、立川が一番盛んになりました。
立川ウドは香りがよく、えぐみが少ないのが特徴。これは、地下に穴を掘り、その中で日光を遮断しながら育てる「軟白栽培」という特殊な方法によるものです。
ウドの薬膳効能
薬膳では、寒さで滞りがちな冬のダメージを春に回復させる食材として重宝されています。ウドは独特の香りを持ち、温性で筋骨に溜まる風湿の邪気を取り除きます。
また、腎や膀胱に作用し利尿作用を活発にして、湿疹、湿度の高い時の頭痛、カゼの初期症状、足腰などの関節の痛みを緩和します。高麗人参ほどの強い作用はありませんが、日常の食卓に取り入れやすく、春の不調を整える身近な存在です。
ウドの根は漢方薬
一方、中国では野菜として利用するより、セリ科のシシウドの根を乾燥させたものを生薬として利用し、漢方では独活(どっかつ)と呼び、肌肉、経絡、肋骨に溜まる、風湿の邪を取り除き、痛みを解除する袪風湿薬(きょふうしつやく)として用いられます。