7.除く

烏龍茶(ウーロンチャ)

薬膳効果
ストレス緩和、食積を除く

ストレス緩和効果に注目される「烏龍茶」

烏龍茶はその深い黒い色合いと曲がりくねるような形状が烏や龍に似ていることから「烏龍」と名付けられました。昔はお茶の代表といえば緑茶、紅茶、黒茶が主流でしたが中国の清朝時代に青茶が誕生し、その代表となったのが烏龍茶です。

一説によると中国の尼僧や禅僧たちは修行の疲れや睡魔を克服するためにお茶を欠かさず愛飲していました。中でも烏龍茶のもつ香りや奥深い味わいが心身を癒してくれると信じられていました。
彼らは茶を通じて心を静め精神をリフレッシュさせる手段として烏龍茶を手元に置いていたようです。

養心安神の効能をもつ飲料

烏龍茶には「養心安神」の働きがあり、これは心を穏やかにし、精神を静寂な安らぎに導く効果があります。また、ストレスが増すと体内に熱がこもりやすくなりますが、涼性の烏龍茶は、程よく熱を冷ますと同時に、その独特の香りが心地よい癒しをもたらし、ストレスを優しく和らげてくれるのです。

食積や水太りの解消に効果あり

烏龍茶は食積や痰などの老廃物を除く「化痰消食」の働きがあります。脂っこい食事をしたあとに烏龍茶を一杯飲むと胃のもたれを軽減できます。また暑気あたり、口の渇きを感じる時にも烏龍茶はおすすめです。

発酵により寒熱の性質が変化します

緑茶(不発酵)、烏龍茶(半発酵)、紅茶(全発酵)は同じ茶樹が原料ですが発酵度の違いにより色や香味が徐々に変化していきます。薬膳では発酵度合が低いと身体を冷やし、高くなると身体を温める作用が強まります。

烏龍茶は茶葉を干してから軽く発酵させ香りをひきだしてから良く揉んで、最後にまた乾燥させて仕上げます。その発酵具合は25~80%と幅の広いお茶です。

中医営養学

ツバキ科
苦甘/涼
性味
脾、胃、肺
帰経
化痰消食、養心安神、利尿解毒
効能
消化不良、むくみ、精神不安
適応

東方栄養新書

苦甘渋/涼または平 脾胃肺、消暑止渇、去痰消積、安神、解毒

食エッセイ「ウーロン茶」

山々の詩が宿る茶葉の香りと味わい

烏龍茶の香りには山々の詩が宿ると言われます。それは茶園の標高の高さが紡ぎ出す奇跡ともいえるでしょう。一口味わえば優雅な花の舞が舌に舞い降り濃艶な風味が心を包み込みます。その後も長い余韻が幽玄な旅へと誘ってくれる。

この風景を思い描きながら味わう烏龍茶は「養心安神」の効果をより深くもたらすことでしょう。

阿里山の烏龍茶

高級台湾茶として有名な高山茶の一種「阿里山烏龍」
標高の高い阿里山の茶園で育まれた烏龍茶は台湾で最も有名な産地の一つです。高山の霧や湿度が茶葉に特有の香りや風味をもたらし風雲急を告げる山岳の中で独自の特徴を育んでいます。
「阿里山烏龍茶」は香りの高さとまろやかな味わいで知られており、美しい茶葉を収穫しじっくりと発酵させてつくります。

その風味は、花の香りが際立つことがあり特にジャスミンのような優雅で華やかな花香が茶葉の風味に広がります。さらに急峻な斜面での栽培により茶葉は豊かな成分を蓄え濃厚でまろやかな味わいがあるといわれています。

台湾の人々にとって高品質なウーロン茶を贈ることは感謝の気持ちを表す重要な習慣。茶葉を通じて贈り物を交わす瞬間はまさに心の交流と共に美しい茶の文化が息づく瞬間です。